辻よし子と歩む会
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+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +

2024.03.23
3月定例会議の最終日

辻よし子です。

一昨日は、3月定例会議の最終日でした。
今議会で大きなテーマとなったのは、なんと言っても五日市駅前開発でした。拙速な施設建設に反対する立場から、陳情と予算の審議において、その問題点の数々を指摘し、議会としての慎重な判断を求めたつもりです。二元代表制の地方議会には、行政を監視する役割があるのですから、批判的な視点は当然必要です。しかし、開発を推し進める立場からすると、反対のための反対としか映らなかったのでしょうか、本質的な問題から外れたところで攻撃的な批判を受ける場面が少なくありませんでした。
異を唱えると対立が深まるというのでは、議会の機能を果たすことはできません。「与党」「野党」という本来の地方議会にはないはずの立場が強調され過ぎると、対立ばかりで熟議が成り立たなくなります。
当初予算に対する反対討論では、五日市駅前施設の予算上の問題点のいくつかを述べ、最後に議会のあり方にも言及しました。
下記に討論原稿を貼付します。お読みいただけるとうれしいです。

*****
議案第26号 令和6年度あきる野市一般会計予算に反対の立場から討論します。

予算特別委員会において、たばた議員と共に、修正案を提出したことからも明らかな通り、本予算案に反対する理由は、武蔵五日市駅前市有地活用事業経費、3億4,849万円が計上されていることにあります。

本事業の設計委託におけるプロポーザル実施要領では、建設工事費が2億8,800万円を超えないようにすることを、設計の条件として記載しています。
ところが、当初予算案では、建設工事費として3億2,450万円が計上されました。大幅増額の理由について予算特別委員会で質したところ、建材費や人件費の高騰、設備関係、外構工事などで予算が膨らんだとの答弁がありました。しかし、実施要領策定の時点でも物価スライドは考慮されており、そこからさらに増額になった分はいくらなのか、明確な答弁はありませんでした。また、外構工事費の増額要因の1つとして、設計委託の際に示されていた敷地面積が、実際の面積よりも狭かったことが明らかになりました。
いい加減さが感じられる増額であり、今後のさらなる増額が危惧されます。

今回設計を受託した会社は、「参加型の計画プロセスや、まちづくりの実績が培った コーディネート力」があるという事をプロポーザル選定の際にアピールし、「設計段階から地域の人々と一緒に使い方や運営を考え、最もふさわしい建物を計画します」と、市に提案をしていました。
もし、この提案通りに設計が進められていれば、活用計画の策定過程における市民参加の欠如を、ある程度カバーすることができたのではないでしょうか。しかし、この貴重な提案が実施されることはありませんでした。そして、なぜ実施されなかったのか、という質問に対して、商工会と観光協会にはヒアリングをしたという意外な答えが返ってきました。
設計会社の提案した「地域の人々の参加」とは、商工会や観光協会を想定していたのでしょうか。あるいは、市の主導でヒアリングがおこなわれたのでしょうか。いずれにしろ、たいへん疑問の残る答弁でした。

設計の条件として、市からは「なるべく多摩産材」を活用することが示されていました。この点について質問したところ、建具や家具を除く木材はすべて製材で、製材については99%多摩産材が使われる設計であることが分かりました。
ただし、建築資材の入荷については、工事を請け負った業者が決めることなので、多摩産材を地元から調達するかどうかは、分からないとの答弁がありました。
市では地元の産業を育成するために、地域要件を加えた指名競争入札や学校給食における地場産野菜の購入等、単なる価格競争ではない様々な配慮をしています。なぜ、今回の多摩産材99%の公共施設建設においては、その配慮がされないのでしょうか。市には、公平性の観点からも説明する責任があります。

本事業経費は、施設建設というハード面の予算ですが、施設完成後の運営手法は未だ何も決まっておらず、水光熱費、清掃委託料等の維持管理費、運営にかかる人件費など、ランニングコストについては、概算も何も全く示されていません。箱物はできるものの、ソフト面はすべてこれからということで、どのような人たちが施設を利用し、そこにどれだけの人たちが集まるのか、調査に基づく想定集客数等が示されているわけでもありません。
億単位の税金を投入する事業として、今後市民が負うことになるリスクを、市は一体どう考えているのでしょうか。
また、ソフト面はまだ何も決まっていないにもかかわらず、スクリーン、プロジェクター、展示パネル、ベビーベッド等々を購入するための物品購入費が1,150万円計上されています。施設の使い方が不明な中、どうやって購入する物品を決めたのか質問したところ、他の自治体の類似施設を参考に積算したとの、驚きの答弁がありました。

これまでも、この事業を進めるプロセスに多くの問題があることを指摘してきました。
・第2次総合計画に、明確に位置づけられた事業と言えないこと。
・公共施設等総合管理計画の策定理念に反すること。
・補正予算に求められる緊急性の根拠が希薄であること。
・パブリックコメントだけで市民との合意形成が図られたとすることは、行政の傲慢とも言えること。

これらの疑問に対する、市の答弁を聴く中で、議会における市の答弁は、あくまで市長が打ち出した政策を推進する立場からの答弁であり、時に、推進に都合の良い答弁に偏るのが執行部の答弁なのだということを、改めて認識しました。真に市民のためになる事業なのか、ということをいくら問いかけても、執行部は決して政策の善し悪しを天秤にかけて測るような答弁はしません。
だからこそ、議会は議会として、政策の中身や進め方について様々な角度から調査・分析し、市民にとってのメリット・デメリットを天秤にかけて、最終的な判断を下さなければならないのです。それが、二元代表制における議会の役割です。そのための審議の場において、最初から政策推進の立場に立ち、単に執行部の答弁をなぞらえているだけでは、議論は深まりません。

議会として十分な検証がされないまま、本事業が当初予算に計上されることをたいへん嘆かわしく思います。

以上、当初予算に対する反対討論とします。


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