+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +
2024.03.15
予算委員会について
辻よし子です。
新年度の当初予算の審議が一昨日終わりました。
今回は、2日間の審議の内、大きな焦点になった五日市駅前施設の予算に絞って報告します。
●五日市駅前施設に関する新年度の予算の総額は3億4,849万円。
内訳は、下記の通りです
・建設工事費 3億2,450万円
・工事監理費 1,199万円
・物品購入費 1,150万円
・消耗品費 50万円
●いつの間にか建設費が増額!
市は設計を委託する際、建設費が2億8,800万円を超えないようにすることを設計の条件にしていました。
ところが、蓋を開けて見たら、いつの間にか建設費が3億2,450万円に!
その原因を質問したところ、建材費や人件費の高騰、設備関係、外構工事などで予算が膨らんだ、との説明でした。しかし、もともと条件額を算出する際に、物価スライドは考慮されていたはずですし、市もそのように答弁しています。
総額の内訳を質問したものの、東京都の積算基準がどのぐらい高くなったかという説明だけで、市の予測を上回る高騰分がいくらだったのかについては答弁がありませんでした。
さらに、外構工事で予算が膨らんだ原因の1つとして、設計委託の際に示していた敷地面積よりも実際の敷地面積は、100~200㎡も広かったことが分かりました。
設計委託の段階において、様々な面で詰めの甘さがあったと言わざるを得ません。
●市民参加の設計が提案されていたのに・・・。
設計を受託した会社は、市に「市民参加で設計を進めること」を提案していました。しかし、実際には市民参加の説明会もワークショップも開かれず、市民に対しては2月15日の広報でイメージ図(添付写真)が示されただけです。
なぜ、設計会社がせっかく提案していた市民参加のプロセスが無くなってしまったのか質問しましたが、明確な答弁はありませんでした。
その一方、商工会と観光協会に対しては、設計会社によるヒアリングが行われていたことが、初めて明らかになりました。市民の学びの場、交流の場、と謳っていながら、一般市民に対するアプローチは何もなく、商工会と観光協会だけにヒアリングをするというのは、施設の方針と矛盾します。いかに市民参加が蔑ろにされているか、ということです。
●施設の特徴やアピールポイントさえ、答えず
広報のイメージ図を見ると、イベント広場やいくつかのブースが出来ることはなんとなく分かりますが、正直、あまり魅力的な施設に感じられません。
しかし、今回の設計はプロポーザルに応募した6社の中から、より優れた実績のある会社が選定されました。そして、具体的な施設の中身は、設計会社が、市の示したコンセプトに沿って、独自のアイディアや経験を活かし、市と協議しながら決めることになっていましたので、民間ならではの創意工夫やイチ押しがあるはずです。
そこで、施設の特徴やアピールポイントについて質問しました。ところが、詳細設計が示されるまでは分かりません、という突き放した答弁しかありませんでした。
詳細設計の締め切りは、予算審議当日から3日後の3月15日です(本日)。担当課が具体的な中身を知らないわけがありません。3億円以上の建設費を計上しながら、施設の特徴すら答えないとは、あまりにも不誠実なのではないでしょうか!!
●99%多摩産材。市内から調達するかどうかは分からない?
設計段階では、「なるべく多摩産材」ということになっていたため、どのぐらい多摩産材が使われることになったのか質問しました。
答弁では、構造材、下地材、羽柄材(構造材や下地材を補う材料)、造作材(天井や床、敷居、ドア枠)、建具、家具に多摩産材を用いるとのこと。このうち、建具や家具を除く木材はすべて製材で、集成材やCLTなどは使わないとのことでした。製材については、117立米のうち116立米を多摩産材で見積もっているとの答弁でしたので、99%が多摩産材ということになります。
市内の公共施設で多摩産材が使われているのは、瀬音の湯、市営住宅の草花公園タウン、病児病後児保育ぬくもり等がありますが、このうち、市内から多摩産材を調達したことがはっきりしているのは、瀬音の湯とのことでした(他の施設は確認してみないと分からないとのこと)。
そこで、今回も市内調達になるのか質問したところ、建築会社が一番安いところから仕入れるので、市内調達になるかどうかは分からないとの答弁でした。
公共施設の清掃や設備管理の業務委託においては、指名競争入札という形で市内に営業所を持つ事業者の中から選定されるのが普通です。また、商工関係においては、市内の店舗を支援するために、様々な事業が税金を使っておこなわれています。そのことを考えれば、今回の事業においても、市内で多摩産材を調達するようにしても、何の不思議もありません。地元の産業育成と言いながら、業種によってなぜこのような違いがでるのか釈然としません。
●敷地の緑化は生物多様性に配慮
設計には緑化計画も含まれるため、どのような植栽が予定されているのか質問しました。答弁では、東京都環境局の「植栽時における在来種選定ガイドライン」に準拠した樹種を選定する、とのことでした。しかし、ガイドラインに掲載されている在来種であれば何でも良いというわけではなく、その場所にあった樹種の選定と植栽方法を専門家の目で判断する必要があります。この点については、環境政策課と協議しながら進めるとのことでした。
●物品購入費1,150万円は、他の自治体の類似施設を参考に積算!?
1,150万円の物品購入費に何が含まれているのか質問したところ、スクリーン、プロジェクター、展示パネル、ベビーベッド等々を想定しているとの答弁が返ってきました。しかし、これまでの答弁において、市は「施設をどのように使っていくか、ソフト面についてはこれから検討する」と繰り返してきました。どのように利用するか分からないのに、なぜ、必要な備品が決められるのでしょうか……。
不思議に思って再度質問したところ、結局は、他の自治体の類似施設を参考に積算していたことが分かりました。そんないい加減な内容で、1,000万円以上の予算が計上されていることに、たいへん驚きました
●木材の購入についてはすべて出荷証明が出されることに
12月議会で、市長は、自分が社長をしている中嶋材木の木材を使うことはないし、使っていないことを示すことができる方法を考えると答弁しました。その点についてどのような方法を取ることになったのか質問しました。
木材について建設業者に出荷証明書の提出が求められているのは多摩産材だけですが、それ以外の木材についても出荷証明書を提出するよう、仕様書に記載するとの答弁でした。
●予算修正案に対する、質問内容に疑問
一般会計の質疑が終わったところで、私とたばた議員の2名で、五日市駅前施設に関する経費3億4,849万円を当初予算から削除した修正案を提出しました。
修正案に対しては自公の議員を中心に様々な質問が出されました。しかし、すでに常任委員会で散々質疑がされた内容の繰り返しであったり、言いがかりにしか思えない内容が少なくなかったように感じました。
特に驚いたのは、まるで私が設計業者の見積り過程に介入したのではないかと疑うような質問がされたことです。しかも、なぜか市側だけに質問し、私には何も聞かずに終わらせました。そのため、市の短い答弁だけでは内容がよく分からず、あたかも怪しい出来事があったかのような印象が残りました。
そこで、補足の答弁をしたいと委員長に伝えて許可を得、事の一部始終を短くまとめて説明させていただきました(多摩産材の活用について、設計会社が秋川木材協同組合と連携して進めると提案していながら、なぜか秋川木材協同組合に問合せをしていなかった件。一連のやり取りはすでにFBで投稿済)。
質問のあり方には強い疑問が残りますが、議会の場で改めて事実を明らかにすることができ、結果的にはかえって良かったのかもしれません。
●予算修正案、5対14で否決され、原案可決
修正案については、共産党3人、リメンバー1人、辻の5人が賛成し、反対多数で否決されました。その後、3億4,849万円の施設事業費を含む当初予算の原案が、修正案とは賛否が入れ替わる形で可決されました。
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