+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +
2023.09.02
議会初日の報告
辻よし子です。
昨日から9月議会が始まりました。
昨日は、様々な出来事があり、すべてを報告することはできませんが、政治の劣化に改めて愕然とすると共に、
それに抗う自分の思いに実力が伴わず、現状を変えることができない悔しさを味わった1日でした。
五日市駅前市有地に公共施設を建設するための測量設計委託料3585万5千円の補正予算が、賛成15(自民、公明、立憲)、
反対5(くさしぎ、共産、リメンバー)で可決されてしまいました。
この審議に絞って、報告させていただきます。
私が質問で追及した主な内容は次の通りです。
●鶴の一声でスタート
あきる野市全体のまちづくりの方針を定めた総合計画において、五日市駅前市有地の活用は、現状では進めることが難しく、
「課題として研究する」というレベルに後退していました。
総合計画に基づき策定される実施計画からも「五日市駅前市有地の活用」の文言は削除されています。
それにもかかわらず、ここで突然、施設建設となったのは、中嶋市長の指示によるものかどうかを敢えて質問し、
そうであることの確認を取りました。
●3億円余りの事業の始まりが補正予算!?
事業の総額を尋ねたところ、約3億3600万円に上ることが分りました。
駅前に3億円を超える予算で公共施設を建てるという事業なのですから、あきる野市に取っては大きな決断であり、
そのための予算は、当然、年度初めの当初予算において提案すべきです。
補正予算というのは、あくまで
「当初予算を作成した後になって、何らかの事由が生じて、特に差し迫った経費の支出や債務負担を行う必要が出て来たときに調整する予算」
とされており、その旨が法律でも明記されています(財政法29条、地方自治法218条)。
市の見解を求めたところ、年度当初の施政方針に「着手する」と示してあった、との答弁。
やりますよと宣言だけしておけば、予算は補正でも構わないというのでしょうか?
こんなことを許してしまえば、今後も、億単位の新規事業が年度途中に提案されることになりかねません。
●公共施設の統廃合や縮小の時代に……
あきる野市では、屋外市民プールの廃止がほぼ決まっています(審議会が廃止の答申を提出)。
人口減少に伴い、公共施設の統廃合や縮小が余儀なくされる時代に入りました。
それに向けて、市では2016年に「あきる野市公共施設等管理計画」を策定し、2022年に見直しをしています。
その冒頭に「新たな公共施設等の重点投資を抑制し、今ある公共ストックを有効に活用していく転換期として捉えていく必要がある」と明記されています。
そして、個別施設計画では、現存の公共施設は、軒並み「集約化」「複合化」「規模縮小」「転用」とされ、
「新設」というのは学校給食センターだけです。
そこで、今回駅前に新たな施設を造るにあたり、公共施設等管理計画における位置づけについて検討したのかどうか質問しました。
市からは、2025年度の計画見直しの際に検討するという驚くべき答弁がありました。
つまり、市全体の公共施設における位置づけについて、事前に何の検討もせずに、新たな施設を造ってしまうということです。
こんなことしてしまえば、「あきる野市公共施設等管理計画」自体の意義が大きく損なわれることになります。
今後、市民プールに続き、他の公共施設についてもいずれ縮小や廃止の話が出てくるでしょう。
そうした中、今回の強引な進め方は、地域住民の理解と協力を得る上でも、マイナスの影響を与えるのではないかと懸念します。
●市長の答弁放棄
このような財政、総合計画、公共施設管理計画という市全体の大きな枠組みにおける疑問点を出した上で、市長に
「中嶋市長は、こうした市全体の大きな枠組みも視野に入れて、今回の指示を出されたのかどうか伺います」と直接質問をぶつけました。
しかし、市長は完全無視。
代わりに部長がそれまでの答弁を繰り返す内容の答弁をしました。
後述の通り、その後も市長に何回か答弁を求めましたが、一切、答えることはありませんでした。
特に気になったのは、私が市長に答弁を求めると、間髪を入れず部長が答弁に立ったことです。
普通は、市長が答弁に立つかどうか様子を見た上で、部長、もしくは副市長が代わりに答弁に立ちます。
昨日は、その気配さえありませんでした。
審議が始まる前から、中嶋市長は答弁しないと決めて、部長職に指示を出していたのではないかと思います。
自分の一存で始めた事業について、部長が苦しい答弁を強いられている中、市長として一切答弁に立たないことに、
腹立たしさや情けなさで、やるせない思いになりました。
●心配な職員の加重負担
これまでの計画策定を担ってきたのは企画政策部です。
パブコメの実施を含め、非常にタイトなスケジュールの中で膨大な業務に忙殺されていたと思われます。
これから計画が具体化していくと、今度は中心的な役割を商工観光部が担うことになります。
しかし、4月の人事において商工観光部の部課長が総入れ替えとなり、しかもみんな昇進したばかりの新人部課長です。
この事業が控えているのに……と非常に驚きました。その後、予期せぬ事情で課長職に空きが出てしまい、
現在、一番中心となる部署の課長は、教育委員会の部署の課長が兼務している状態が続いています。
早急に管理職の配置を正常化させる必要があるのではないかと質問したところ、
課題として捉えているが解決の目処は立っていないとの答弁がありました。
そこで、中嶋市長に、
「ただでさえ、事業期間が短くてたいへんな中、管理職に欠員が出ている状態で、事業を進めることについて、市長としてどう考えているのか」
と質しましたが、上述の通り、だんまりを決め込み、部長が代弁。
「優秀な職員なので二役をこなしていて問題ない」と言った趣旨の答弁があり驚きました。
こんな答弁が正常な組織として許されるのでしょうか!
二役をこなしている職員の負担はもちろんですが、その歪みが周りの職員に及ぶことは間違いありません。
既にかなりの加重負担に喘いでいると感じられる職員の方々の顔が思い浮かび、答弁さえしない市長に怒りすら感じました。
●これが「合意形成」!?
市有地活用計画については、7月15日から8月7日まで意見募集(パブコメ)が行われました。
その結果が議員全員協議会の資料として数日前に示され、171名から172件の意見が提出されたことと、
主な意見として13の意見概要が書かれていました(添付資料)。
現在、寄せられた意見に対する市の見解をまとめている段階で、今月末までにはHPに公表するとのことです。
172件の意見はすべてそのまま全文掲載し、そのひとつひとつに市の見解を載せるという答弁がありました。
この対応には、担当部署の誠実さを感じました。
あきる野市ホームページ: 武蔵五日市駅前市有地活用計画(案)に係るパブリックコメントの概要及び実施結果 [初版公開日:2023年9月27日]
しかし、パブコメによって計画を変更した箇所は1つもなく、今後、説明会を開いて市民の意見を聞く場を設ける予定もないことが分りました。
これでは、とても市民との合意形成を図ったとは言えません。
その点について市の見解を質したところ、
「市民から寄せられた意見に対して丁寧に市の考えを説明することで合意形成が図られたものとする」との趣旨の答弁がありました。
これもまたあり得ない答弁です。寄せられた意見の中には、今回の進め方そのものに対する批判も多く、市からの回答だけでは納得できない人もいるはずです。
合意形成は、意見の異なる立場の人々が繰り返し話合いを重ねる中で、折り合いを付けていくもので、
1回の文章のやり取りで合意形成が図れるはずがありません。
「パブコメ=合意形成」などということが、今後のあきる野市政においてまかり通ってしまうとしたら、恐ろしいことです。
●一旦立ち止まって、見直しを!
最後に、改めて市長に次のような内容の質問をしました。
「こうした進め方になってしまっているということは、市長がお尻を決めてしまったからに他ならない。
10年、20年、30年先から振り返ってみたときに、この事業が本当に市民のためになる良い事業だったと言えるようにするためには、
周年行事に合せるとか、市長の4年の任期中に事業開始まで持っていくとか、拙速に成果を求めてはいけないのではないか。
市の全体計画にしっかり位置づけるためにも、市民との合意形成を図るためにも、また、市の組織としてのマンパワー確保するためにも、
もっと時間が必要。事業のスケジュールを含めて、一旦立ち止まって、見直していただきたいと思うがいかがか。」
これにも市長は黙ったままで、部長が「現在の計画で事業は進めさせていただく」といった答弁をして終わりました。
議会としてこのような強引な進め方を認めるわけにはいかないと思い、私と共産党の3人で、補正予算案から測量設計委託料を削除した
修正案を動議で提出しました。しかし、修正案に不備が見つかり、結局、撤回することになってしまいました。
修正案を出すのは初めての経験で、自分に甘さがあったことを反省しています。
自力では限界があり、専門家の力を借りるべきでした。かなりへこみましたが、今回の失敗を次に活かしていきたいと思います。
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