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+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +

2023.06.22
6月議会の最終日 - 森林環境税(市税賦課徴収条例の改正)とマイナンバーカードに関わる条例改正

辻よし子です。

本日は、6月議会の最終日。
本会議の後、議員全員協議会、広報広聴委員会と続き、なかなかヘビーな1日でした。

本会議では、森林環境税(市税賦課徴収条例の改正)とマイナンバーカードに関わる条例改正(印鑑条例の改正)について、反対討論をしました。

森林環境税を含む市税賦課徴収条例の改正については、私と共産党としょうじ議員(会派リメンバー)の3会派が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
この条例改正によって、来年4月から森林環境税として一律1,000円が住民税に上乗せされて徴収されることが決まりました。
非常に問題のある税制度です。
これが悪しき前例となって、今後、軍備増強や原発推進のために、所得にかかわらず一律の金額が課税される人頭税がまかり通るようなことにならないか……。
あり得ないようなことが平気で起こる政治状況ですから。

税制度に関することは、ややとっつきにくいかもしれませんが、何が問題なのかを討論で述べましたので、お読みいただけるとうれしいです。

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議席番号2番、会派くさしぎの辻よし子です。
議案第56号 あきる野市税 賦課徴収条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論します。本条例改正に含まれる4点の改正内容のうち、森林環境税の導入に反対するものであり、その理由について以下、意見を述べます。

 東日本大震災後に創設された復興特別税には、復興特別所得税、復興特別法人税、復興特別住民税の3つがあり、法人税について既に前倒しで廃止されましたので、現在課税されているのは、復興特別所得税と復興特別住民税です。復興特別所得税は、支払う能力に応じた応能負担です。一方、復興特別住民税は、応能負担の所得割ではなく、一律に金額が課される均等割に1,000円が課税され、それまでの4,000円から5,000円に引き上げられました。
 復興特別所得税は、主に被災地の復興を目的に使われていますが、復興特別住民税は、住民税ですので、それぞれの自治体が各々の公共施設の耐震化や防災工事の費用等に充てています。

 復興特別住民税は、適用期間が10年間と決められていましたので、本年度終了します。
 そして、まるで、それを待っていたかのように始められようとしているのが、本条例改正の1つである森林環境税です。復興特別住民税と同じく、住民税均等割4,000円に1,000円上乗せして徴収されます。しかし、復興特別住民税が住民税であるの対し、森林環境税は、住民税の仕組みを利用して徴収する国税です。あきる野市が徴収し、東京都を通して国に引き渡すという異例のシステムが使われることになります。

 住民税に均等割があるのは、自治体という限られた範囲内であれば、住民全員が行政サービスを受益できるという前提があるからであり、均等割は国税には通用しません。この考え方は歴史的にも、国際的にも定説とされており、森林環境税は、租税理論の定説を無視した異例な制度と言わざるを得ません。国税として異例な課税方式であることは、議会初日において市も認めた通りです。

 また、住民税の課税・非課税のラインである課税限度額は、自治体毎に異なります。そのため、森林環境税は国税でありながら、課税対象が自治体毎に異なるという、あり得ない問題が生じます。
 そして、ご存じの通り、森林環境税譲与税はすでに2019年度から自治体への譲与が始まっています。税の徴収が始まる前に、地方公共団体金融機構から借金をして譲与する形が取られました。しかし、多くの自治体では税の使い道に困り、大半を基金に積み立てている自治体が少なくありません。一体何のための、前倒しの譲与だったのか……。課税のスタート段階で反対しても、引き返せない既成事実が作られただけのように感じます。

 森林環境税は、このような異例ずくめの道理の通らない税制度であり、そのお先棒を自治体が担わされることについては、到底容認することはできません。

 そして、今回、ここで森林環境税の導入を認めてしまえば、森林環境税が悪しき前例となり、今後、同じような人頭税が制度化されていく不安が拭えません。

 総務委員会における審議では、本条例改正に賛成する委員から、森林環境譲与税を活用して森林整備を進めれば、国土の保全や水源の維持、さらに地球温暖化の防止に繋がり、国民ひとりひとりが受益を得るのであるから、均等割の国税であっても問題ないという意見が多く出されました。
 同じ理屈を用いれば、二酸化炭素排出量抑制のためのエネルギー政策であっても、あるいは、安全保障のための軍備増強であっても、国民ひとりひとりが受益を得るのであるから、応益負担の均等割、すなわち人頭税が可能だということになります。
 年額1,000円は、それほど大きな額ではないかもしれません。しかし、今後にもたらす影響は、その額とは無関係に甚大なものになり得る、ということを申し上げ、本条例改正の反対討論と致します。

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議席番号2番、会派くさしぎの辻よし子です。
議案第57号 あきる野市印鑑条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論します。

 本議案は、マイナンバーカードに関わる条例改正です。マイナンバーカードを用いた各種証明書のコンビニで交付について、マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載すれば、マイナンバーカードをコンビニまで持参しなくても、スマートフォンで交付できるようする予定とのことです。そのために、住民票の写しと課税・非課税証明書については規則の改正が、印鑑登録証明書については、印鑑条例の改正が必要になったものです。

 私は当初からマイナンバーカードによる各種証明書のコンビニ交付には反対をしており、導入当初における印鑑条例の改正にも反対をしました。その際、費用対効果の問題と情報漏えいのリスクを指摘しました。

 費用対効果については、導入当初に比較してコンビニでの交付率は上がってきてはいるものの、2022年度の印鑑登録証明書交付におけるコンビニでの交付率は約16.8%とのことで、2割にも至っていません。各種証明書のコンビニ交付に掛かる経費は、本年度の当初予算においては1枚当たり1241円と試算されており、未だに高額です。

 一方、懸念していたマイナンバーカードによる情報漏えいについては、すでに広く報道されている通り、各種証明書のコンビニ交付において、現実のものになりました。

 これまでの報道によれば、横浜市では、他人の証明書が発行されるという誤発行が計10件、18人分。この内、印鑑登録証明書は2件。
 足立区では、同じく誤発行が計2件、4人分。この内、印鑑登録証明書は1件。
 他に、川崎市、徳島市、新潟市、さいたま市、熊本市でも、合計14件の誤発行等が起きており、この内、印鑑登録証明書に関わる事故は、3件になります。
 これらはいずれも富士通Japan製システムで発覚したトラブルですが、果たして他社のシステムであれば安心と言えるかどうか、保証の限りではありません。印鑑登録証明書は、不動産関係その他、多くの場合、高額の取引や相続等に使われ、誤発行や情報漏えいがあると、重大な問題を引き起こす可能性があり、より慎重な取り扱いが求められます。

 さらに、健康保険証とマイナンバーカードを一体化させたマイナー保険証においては、命に関わる、より深刻なトラブルが相次いで起きています。また、マイナバーカードに紐付けて登録する公金受け取り口座については、制度のずさんさを証明するようなトラブルが起きています。

 これらのトラブルの背景に、政府の強引なマイナンバーカード普及策があったことは明らかです。タイトなスケジュールの下、実務を担わされた自治体職員がミスの責任を一方的に問われるのはあまりに理不尽です。また、障害者手帳の情報とマイナンバーとの紐付け作業で生じた誤登録について、国は一昨日、各自治体に同様のミスがないか総点検を求める通知を出しました。総点検を指示するのは簡単ですが、作業を担うのは自治体の職員です。国は、前のめりの姿勢を改め、一端立ち止まって、まずは自らの制度設計を総点検すると共に、マイナバーカードそのものの在り方について議論し直すべきと考えます。
 なお、総務委員会の審議において、市民課にコンビニと同様のコピー機を設置し、マイナンバーカードを使ったコピー機での交付の仕方が分らない高齢者等に職員が教えるようにしてはどうかとの意見と要望が出されました。しかし、対象となる各種証明書は、日常的に必要な書類ではないため、一度習得しても、次に必要となるときには忘れてしまっていることが多いのではないでしょうか。職員の業務負担に対する市民サービスとしての必要性と効果から考えると得策ではないように思います。

以上、印鑑条例の改正に対する反対討論とします。

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