+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +
2023.06.17
6月議会一般質問 / 保育所等訪問支援の利用促進、会計年度任用職員制度の見直し
辻よし子です。
6月議会の一般質問は、次の2つのテーマを取り上げました。
(1)保育所等訪問支援の利用促進について
(2)会計年度任用職員制度の見直しについて
(1)保育所等訪問支援の利用促進について
保育所等訪問支援については、以前、他市でこの支援に関わっている方から「あきる野市ではあまり話を聞かないけれど、
どのぐらい取り組まれているのですか?」と尋ねられたこと。また、集団生活が苦手なお子さんを抱える保護者の方から
「発達に凸凹のある子どもについて、学校の先生がもっと専門家から学ぶ機会があるといいのに……」と言われたことが、
質問として取り上げるきっかけになりました。
保育所等訪問支援は、幼保施設や学校で、その子どもの特性に応じた集団生活を送ることができるよう、
専門家が施設や学校に出向いて、直接、子どもの支援に関わり、それを基に、担任の先生等に専門的なアドバイスをする制度です。
専門家が定期的に現場に入り(目安としては隔週)、必要に応じて数年間継続することも可能です。
特に、幼保施設から学校に入学する時など、環境が大きく変わる時期に、同じ専門家が継続して関わることは、大きな意味を持つと思います。
今回の質問で確認できた市内の利用状況は、制度が開始された2012年度から2022年度までの11年間で、僅か9人(延人数)。
内訳は、未就学児7人、小学生1人、中学生1人。
また、この制度は、障がい者手帳や医師の診断書・意見書が無い場合も利用できますが、これまでそのようなケースでの利用はないとのこと。
この制度の利用に当たってコーディネイトをする障害児相談支援事業所の中には、その点の理解が十分でない事業所も見られることから、
改めて制度の周知徹底をお願いしました。
そして、この制度の利用を促進するためには、専門支援員を受入れる幼保施設や学校の理解と協力が不可欠です。
制度自体の周知が不十分なこともあり、受入れに消極的な施設もあるようです。
そこで、幼保施設の担当である子ども家庭部と教育委員会の指導担当部に対して、園長会や校長会等を通じて、
この制度の目的や意義について周知を図るようにお願いしました。
今回、この質問をするに当たり、専門支援員を派遣している事業所の方々に、現場の具体的な状況を教えていただき、
質問を組み立てる上でたいへん参考になりました。
厚労省が出している保育所等訪問支援の手引書には、この制度の理念が非常によく書かれています。
今回の質問をひとつのきっかけにして制度の周知が図られ、この制度を必要とする方々の利用が進むことを願っています。
(2)会計年度任用職員制度の見直しについて
あきる野市は、現在、正規職員が約450人であるのに対して、非正規である会計年度任用職員は約830人に上ります。
今回の質問で、現状および問題点を明らかにし、改善を求めた主な内容は下記の通りです。
①「再度任用4回」の限度撤廃を
会計年度任用職員とは「会計年度」という名前の通り、4月から翌年3月までの1年の任期で雇われる職員です。
現在のあきる野市の規程では、本人が翌年度も継続を希望し、市がそれを認めれば、公募によらず再度の任用が可能です。
しかし、そこに4回という上限を設けています。つまり、その後は公募による選定に掛けられ、場合によっては落とされる可能性があるということです。
事前に主な部署から、1年目、2年目、3年目、4年目、それぞれの会計年度任用職員の人数を出していただきました。
その結果、4年目の人数が圧倒的に多いことが分りました。さらに、制度導入前も含めた勤務年数についてもデータを出していただいたところ、
10年以上勤務されている方が非常に多いことも分りました。一般質問ではそれらをグラフにし、モニターで見ていただきました。
会計年度任用職員には、専門的な知識と経験を持ち、責任ある重要な業務を担っている方々も少なくありません。
その方なしには業務が回らない部署も少なくないのではないでしょうか。その方々を、あと1回の更新(再度任用)で
全て一端打ち切ってしまうというのは、あまりに理不尽であり、また市にとってもプラスになるとは思えません。
再度任用の限度回数については、昨年12月に総務省から見直しを求める通知が出ていることや、
制度導入当初から限度回数を設けていない自治体が全国で14%あることなどを紹介した上で、打ち切りの時期を迎える前に、
現在の規程を見直すべきではないかと質問しました。
答弁としては、「会計年度任用職員の確保が難しくなっている状況もあるので、再度の任用回数の対応については、
今後、都や他市の状況などを参考に検討していきたい」というものでした。
②会計年度任用職員に対しても、人材育成を目的にした適切な人事評価を
会計年度任用職員の人事評価については、正規職員の人事評価実施規程に加える形で規程されています。
今回の一般質問で、その内容や運用に数々の問題があることが分りました。
*規程に定められた人事評価者が実態と合っていない。
*評価方法が会計年度任用職員については適用除外になっている(つまり評価方法が規程上定められていないということ!)。
*人事評価として重要な業務目標の設定と自己申告(自己評価)が、会計年度任用職員については適用除外になっている。
*人事評価の結果については、会計年度任用職員にも通知するよう規程されているが、実際は通知されていない!
*結果が通知されていないため、規程に定められた苦情申出の権利も実質的には与えられていない。
以上の点を明らかにした上で、非正規職員のモチベーションの向上を目指した人事評価に力を入れている池田市の事例を紹介しました。
そして、会計年度任用職員についても職員と同様に、人材を育てるという視点で人事評価をするべきであること、
また、会計年度任用職員については勤務形態や業務内容が多様なので、それぞれの実態にあった無理のない評価方法を考える必要がある
ことなどを意見として述べ、人事評価の抜本的な見直しを求めました。
答弁としては、「担当部署の意見も聞きつつ、勤務の実態に則した評価ができるよう、評価方法を含めて検討していきたい」というものでした。
③職務限定、異動限定のジョブ型正規職員制度を!
日本の公務員は原則、メンバーシップ型。数年毎に部署の異動があるのが当たり前になっています。
しかし、専門性の高いジョブ型職員も必要ではないか、ということを以前にも一般質問で提起したことがあります。
今回、一般質問にあたり、非正規公務員の問題を長年研究し、鋭い論評をされている上林陽治氏の著書を改めて読み返す中で、
民間に義務づけられている無期転換ルール(有期雇用が3年若しくは5年を超えた場合、本人が希望すれば無期雇用に転換できる制度)を
会計年度任用職員にも適用すべきで、そのためには職務限定、異動限定のジョブ型正規職員の制度が必要であるという記述に目がとまりました。
なるほど、ジョブ型職員は、正規職員の選択肢の1つであるだけでなく、非正規公務員の無期雇用転換先としての意味もあるということを知りました。
上林氏は月刊誌・日経グローカル4月号、5月号に「人手不足時代の公務員人事管理」として、現代の若者の就職先として公務員の人気が
下落傾向にあり、就職しても6~7人に1人が35才までに退職してしまっていること、心の不調による病気休暇、病気休職の割合が、
類似の民間企業の統計と比べてかなり高いということなど挙げ、公務員人事の厳しい状況を記しています。
会計年度任用職員も同様で、募集すれば集まるような時代ではなくなってきています。
会計年度任用職員に対しても、いかに、やり甲斐を持って長く働くことができるようにするか、
自治体は真剣に考えなければならないということです。その1つの方策が職務限定、異動限定のジョブ型正規職員制度だということです。
最初の答弁では、ジョブ型正規職員制度の導入は考えていないというゼロ回答だったため、
すぐに導入は無理でも調査研究をすることはできないかと質問しました。
それに対しては、「東京都や他の自治体の動向などの状況も把握した上で、調査研究していきたい」との答弁を得ることができました。
そして、最後に「公務 非正規 女性全国ネットワーク」が実施したアンケート調査に寄せられた、一般事務・30代女性の声を紹介しました。
「市役所で働いていると、行政がこれ程多くの非正規労働者を不安定な雇用、低賃金で搾取し、
公共サービスを無理矢理成り立たせているというこの社会の脆弱性に、日々暗い気分になります。
職場からは人間らしい扱いをされず、市民からはキツイ言葉を言われつづけ、精神が病むのも無理はないと思います」
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社会の脆弱性とゆがみは、非正規職員に留まらず、正規職員の働き方にも大きく影響しているように思います。
東京都や他の自治体の動きを見るだけでなく、市として主体的に、出来ることから改善を図って欲しいと最後に述べました。
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