辻よし子と歩む会
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2021.12.07
パートナーシップ制度の陳情、採択ならず

辻よし子です。

午前中、総務委員会が開かれ、私は委員ではないので傍聴しました。
主な審議内容は、パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度を求める陳情についてでした。

冒頭に、陳述者から意見陳述がありました。

自らがトランスジェンダー(女性の身体で生まれ、性自認は男性。現在は男性として生きている)ことを明かし、
幼少期から誰にも話せず、苦しい思いで生活をしてきたことを、時折涙に声を詰まらせながら話されました。

「性的マイノリティーの当事者たちがカミングアウトをし、社会に問題を投げかける姿を見ながら、
当時の自分は、自分の存在がバレるかもしれないのでそういう活動は止めて欲しいとさえ思っていた」と語られました。

そんな自分が変わったのは現在のパートナーとの出会いだったと言います。彼女には9才の子どもがいて、彼女と子どもを守りたいと強く願い、
将来のことを真剣に考えるようになったそうです。

「今の日本の社会制度では、パートナーにもしものことがあったとき、病院で話を聞くことも許されない、
一緒に暮らしている子どもの親権者にもなれない・・・そんな不安をいつも抱えながら暮らさなければいけません。
こうした社会を変えていくために、自分として一体何ができるのか、ということを真剣に考える中で、今回の陳情提出に至りました」
といった話をされました。
たいへん心に響く陳述でした。

その後おこなわれた審議では、まず、共産、立憲、公明の3人の委員が賛成の意見を述べたのに対し、
自民党の3人の委員は反対ではないが、採択はできないので「趣旨採択」にしたいとの意見を述べました。

あきる野市議会での決まりでは、「趣旨採択」は全員一致でなければできません。共産党の委員が最後まで
「陳情に前向きであるならば、なぜ賛成できないのか」と粘りましたが、自民党の考えは変わりませんでした。

自民党の委員が述べた「採択」ができないとして主な理由は、

*パートナーシップ制度だけではなく、ファミリーシップ制度も一緒に求めているが、両方をセットで進めるのはいかがなものか。

*上位団体である東京都の小池都知事がパートナーシップ制度について検討を始めている。

*性的マイノリティーへの理解を深めていくことは重要だが、制度にすることについては、慎重であるべき。

*市民の理解が十分とはいえず、どちらか1つの制度だけにするにせよ、時期尚早。

全会一致の趣旨採択が成立せず「賛成」「反対」の採決となれば、自民党が過半数を超えているため、「不採択」にならざるを得ません。

結局、最後まで頑張っていた共産党の委員に、「趣旨採択」がいいか「不採択」がいいかの二者択一を迫る形になってしまいました。
共産党委員は悔し涙をこぼしながら「趣旨採択」を選びました。

自民党委員たちは、趣旨採択であっても立ち止まるわけではなく前向きに考えるといったことを繰り返し述べていました。

しかし、「趣旨採択」という結論を出すということは、議会としては「趣旨は分りました」という態度を示したことにしかなりません。
「この後、検討しようと思っている」といくら委員が言っても、議会としてそのことを約束したことにはなりません。
当然、行政に対する意味合いも全く異なります。

これまで長いこと悩み苦しみ、辛い思いを抱えて生きてきた性的マイノリティーの方が、ようやく声を上げ、
勇気を持って制度の整備を求めて出された陳状です。

市民への周知や制度設計にいくつかの課題があったとしても、この陳情をむしろ貴重なチャンスと捉えて、制度の整備に踏み切るべきです。
「趣旨採択」という曖昧な選択肢の弊害を強く感じた傍聴でした。


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