+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +
2021.09.28
9月議会が終わりました
辻よし子です。
9月議会が終了しました。
長くなりますが3つの内容について報告します。
その1 生活保護の意見書について
その2 補正予算の土地購入費について
その3 決算の討論について
* * * その1 生活保護の意見書について * * *
審議の中で、一番心残りというか、本当に残念だったのが、生活保護に関する意見書が否決されてしまったことです。
コロナ禍で、改めて、セーフティネットとして生活保護制度のあり方が問われ、政府の広報の仕方や現場での運用面での改善が少し進みました。
そうした中、現在厚労省において、生活保護費に関わる大きな制度改革(級地の見直し)が進められようとしています。
生活保護費については、2013年、2015年、2018年と連続して引き下げられ、生活扶助費だけでも月2万円余り減額になってしまった世帯も少なくありません。
今回の制度改革が、再び生活保護費の引下げにつながるのではないかと、懸念しています。
先行きは不透明ですが、これまでの審議会の議論を見ると、専門家の間から様々な異論が出ているにもかかわらず厚労省が結論を急いでおり、
なぜ??・・・とますます不安になります。
そこで、制度改革の目的や内容をもっと明確に示し、丁寧な審議をして欲しいという意見書を、あきる野市議会として政府に出すことを提案しました。
共産党と立憲民主を含む会派からは賛同がえられたのですが、自民党、公明党が反対したため、意見書は否決されてしまいました。
反対したのは、現在審議中で結論が出ているわけではないので時期尚早、ということが主な理由のようです。
丁寧な審議を求める意見書に早過ぎるということはなく、厚労省から出されている資料を読むと、むしろ遅すぎるぐらいだと思うのですが・・・。
下記に昨日の議会で述べた提案理由を記します。
*****
議員提出議案 第3-5号 生活保護の級地見直しに関する意見書について提案理由を述べさせていただきます。
生活保護法 第8条第2項では、制度を利用する人の、年齢や世帯構成、地域の違い等に応じて、生活保護費の額を決めることとされています。
この法律に基づいて定められているのが級地制度です。
現在は、全国の市町村を1級地から3級地までに区分し、さらにそれぞれの級地を2つに枝分けし、合計で6段階の区分になっています。
支給される生活保護費がもっとも高いのが1級地の1,もっとも低いのが3級地の2となります。
多摩26市では、22市が区部と同じく1級地の1に、残り4市の内、青梅市と武蔵村山市が1級地の2に、あきる野市と羽村市が2級地の1に区分されています。
この級地区分に対し、あきる野市議会では2017年3月定例会議において、あきる野市の級地を2級地から1級地に引き上げるよう求める意見書を
全会一致で可決し、国及び東京都に提出しました。
周辺自治体と比べて低い級地に区分されている自治体では、あきる野市議会と同様に、級地引き上げを国に要望している地方議会が少なくありません。
現在の級地区分が生活様式や物価の地域格差を正しく反映した区分になっているかどうか、検証する必要があることは間違いないでしょう。
ところが、今回、厚生労働省が進めようとしている級地見直しにおいては、自治体間の生活様式や物価の地域格差について、具体的な検証に入る前に、
まず、現行の6区分を3区分にする方向が示されました。
これに対し、社会保障審議会 生活保護 基準部会では、専門家の間から、生活保護基準の検証を行う前に、級地区分の変更を決めてしまうことへの疑問や、
枝番を無くして3区分にすることが、生活扶助基準の引下げにつながる恐れがあるという強い懸念が示されました。
生活保護基準については、2013年、2015年、2018年と連続して引下げがおこなわれ、生活扶助費だけ見ても、月2万円以上減額された世帯が少なくありません。
こうした流れの中で、級地区分の見直しが、結果的に、全体的な生活保護費の抑制に繋がるようなことがあってはなりません。
また、厚労省の検討スケジュール案では、級地区分について、生活保護基準部会での審議をわずか2回で打ち切り、
その後は厚生労働省内において検討を進めることになっています。
専門家の間で様々な異論が出ている以上、専門家によるさらなる検証が必要なはずです。
きょう現在、2回目の審議会の議事録についてはまだ公開されておらず、また、コロナ禍で一般の傍聴は認められなかったため、
どのような審議が行われたのか確認できていません。
しかし、このまま、厚労省の検討スケジュール案に従って、級地見直しについての審議が打ち切られることも十分予想され、
今の段階で意見書を提出しなければ手遅れになる恐れがあります。よって、本定例会において、以下の意見書を国に提出することを提案いたします。
* * * その2 補正予算の土地購入費について * * *
9月議会最終日に、市有地の購入費が含まれた補正予算が提案されました。
市有地に隣接した民有地が売りに出されており、そこを1550万円で購入するというものです。
今ある市有地は、消防団の詰所(行政財産)、駐車場(普通財産として貸与)、商工会の古い建物(普通財産として貸与)として使われています。
この市有地は、公道と接している部分が狭く、旗竿敷地(または路地状敷地)と呼ばれる土地です。火災などの際に車両の出入りがしにくいことから、使途が限定されています。
現在売りに出されている土地を買えば、規定上は旗竿敷地でなくなるため、使途が広がります。
そこで、市有地の有効活用のために、隣接する民地を購入するというものです。
しかし、民有地の購入によって現在の市有地の有効活用がどれだけ進むのか、たいへん疑問があります。
その理由は、
①規定上は旗竿敷地、路地状敷地ではなくなるものの、言わば、1本の路地が2本の路地になるだけで、全面が公道に接する形にはなりません。
しかも、路地と路地の間に1軒の住宅だけが挟まれた形になります。
②有効活用には、商工会に古い建物を撤去していただく必要がありますが、それがいつになるかはっきりしていません。
③有効活用には駐車場の撤去も必要になりますが、これまでの経緯から考えると代替地が必要になり、そのあても今はありません。
④購入を考えている民有地と市有地との間に段差があり、工事整備費が必要になります。
⑤市有地一部は、災害上のイエロゾーンに入っており、その先は急峻な崖でレッドゾーンになっています。
民有地を買い足すことで明らかに市有地が使いやすくなるのであれば、購入を検討することも可能かもしれません。
しかし、今回のケースでは上記に書いたような課題が多く残されています。それでも民有地の買い足すというのであれば、
どのような利用を諮るのか、具体的な計画が必要です。それが白紙のまま1550万円もの一般財源を使うことはできません。
この件については、補正予算から土地購入費を削除する修正案が自公から出されため、その修正案に賛成をしました。
ただ、この問題の質疑において、反対するにしても言い過ぎではないか?と感じる質問がいくつかあり、一方、賛成する側の根拠が弱く、
結果な賛否が市長派対反市長派の構図になってしまったことが残念でした。
* * * その3 決算の討論について * * *
9月議会最終日について、最後の報告になります。
決算については、一般会計、区画整理事業、下水道事業の3つについて反対討論をしました。
一般会計の決算(予算も)の討論では、まず、国の経済・社会情勢に触れ、その後、市の歳入総額、歳出総額、財政指標など全体を俯瞰し、
そして、各分野の注目する事業について評価を述べる、というのが一般的なようです。
私の場合、基本を踏み外してしまっているのかもしれませんが、なるべく端的な討論をしたいと考え、いきない反対理由から入ることがほとんどです。
また、主な反対理由に絞るため、それ以外の問題点や、一方で、素晴らしい事業だと思っているものや、計画的な償還など評価すべき点は出てきません。
今回は、私だけが反対したため、討論のトップバッターとなりました。
席に戻って、他の4会派の賛成討論を聞きながら、討論とは何か? 討論とはどうあるべきなのか? いつもに増してグルグルと考えを巡らせました。
以下、一般会計についての討論文です。
*****
議席番号2番 会派くさしぎの辻よし子です。
議案第55号 令和2年度あきる野市一般会計歳入歳出決算の認定について反対の立場から討論します。
主な反対理由を3点述べます。
1点目は、新型コロナウイルス感染症の拡大を理由に、GIGAスクール構想が前倒しで実施されたことです。
国は、補助金の交付期限を区切る等、強引とも言える手法で、全国の小中学校に対し、2020年度中のタブレット購入と通信環境の整備を迫りました。
そのため、あきる野市においても、学校におけるタブレットの具体的な活用方法や、オンライン授業の可能性や有効性について、
十分な検討が出来ていない状態で、タブレットの購入に踏み切らざるを得ませんでした。
担当部署や学校現場では、様々な戸惑いや混乱があったことと思います。
今後、タブレットの活用が家庭学習にまで広がれば、家庭環境の違いによる教育格差の拡大やネット犯罪の被害も懸念されます。
デジタル化社会への移行はすでに不可逆的ではありますが、GIGAスクール構想をはじめ、なぜ、これほどまで急いでデジタル化を進める必要があるのでしょうか。
デジタル化への移行は、職員態勢や地域性に合わせ、自治体のペースで進めるべきです。
2点目の反対理由は、新型コロナウイルス感染症対応事業のひとつとして実施された子育て家庭応援商品券事業に関わる問題です。
新型コロナウイルス感染症対策地方創生臨時交付金については、各自治体で様々な使い方がされました。
多くの自治体が行った事業に、消費喚起策としてのプレミアム商品券事業があります。中には5割のプレミアムを付与した自治体もあり、
プレミアム率の高かった自治体では申込に市民が殺到して混乱を招いた事例もありました。
あきる野市が実施した子育て家庭応援商品券は、希望者が購入するプレミアム商品券とは異なり、
18才以下の子ども一人に対して1万円の商品券を給付するというものでした。
生活に困窮し、プレミアム商品券を買うだけの経済的、時間的余裕のない家庭にとっては、ひとつの支援になったことと思います。
しかし、この事業では、支援の必要な子どもがどこにいるのか見えないままであり、その後の継続的な支援には繋がらない、
言わばカンフル剤的な支援となりました。また、その裏返しとして、経済的な支援を必要としない子ども全員に1万円を給付することになり、
コロナ禍とは言え、税金の使い方として疑問を感じました。
一方、この事業のもうひとつの目的には低迷する地域経済の活性化があり、特に、売り上げが落ち込んでいる事業者の支援が期待されました。
しかし、本事業の一環として実施されたアンケート調査には、コロナ対策事業としての効果を測定するという視点が欠けており、
さらに、本事業の受託者の都合による誘導的な質問がされたことは、看過できない問題です。
3点目は、2020年度から導入された会計年度任用職員制度について、改善すべき点が見られたことです。
フルタイムの会計年度任用職員とパートタイムの会計年度任用職員とでは、退職手当の支給や共済組合加入など処遇面で大きな違いがあります。
そうした中、あきる野市では、会計年度任用職員制度導入前まで正職員と同じく1日7時間45分勤務していた非正規職員の勤務時間を、
15分短くするというような見直しがおこなわれ、結局、フルタイムの会計年度任用職員の制度は導入されず、
すべての職種がパートタイム会計年度任用職員になりました。
そこで、会計年度任用職員の内、フルタイムに近い勤務をしている職員について、2020年度の勤務時間を確認したところ、
毎月、超過勤務をしている職員がいることが分りました。超過勤務を含めた勤務時間がパートタイムとしての規程を超えているケースは
かろうじてありませんでしたが、今後、超過勤務が常態化し、その合計がパートタイムの規程時間を超えるケースが見られるようであれば、
フルタイム会計年度任用職員の導入をはかるべきではないでしょうか。
次に会計年度任用職員の期末手当についてです。現在のあきる野市の規程では、週20時間以上で、4月1日から9月30日までの6月、
または10月1日から3月31日までの6月勤務をすれば、期末手当の支給対象になりますが、
同じ週20時間以上で、たとえば5月1日から10月31日までの6月勤務では支給対象にはなりません。
10月31日に任期が終わった場合、次の期末手当の支給月は3月になってしまうからです。
2020年度には、こうした事例に当てはまり、支給対象にならなかった職員が2名いたことが分かりました。
同じ勤務実態でありながら、時期が異なるだけで期末手当が支給されないのは、公平性の観点から問題があるのではないでしょか。
ぜひ、見直しを検討していただきたいと思います。
会計年度任用職員はあらゆる部署で重要な役割を担い、専門的な知識や経験を活かして責任ある業務を担っている職員も少なくありません。
期末手当の支給月数や休暇制度等の改善を図り、正規職員との格差是正に努めていただきたいと思います。
また、合せて、事務報告書に会計年度任用職員の部署毎の人数を掲載するようにしていただきたいと思います。
その他、引田駅北口土地区画整理事業1億4953万1千円、下水道事業へ 13億5456万8千円の繰り出しがされていること、
費用対効果を無視したマイナンバーカードによる証明書のコンビニ交付事業が継続していることも、反対理由であることを付け加えておきます。
以上、令和2年度あきる野市一般会計歳入歳出決算の認定についての反対討論とします。
©copyright 2014- 辻よし子と歩む会, くさしぎ・草の根市議と市政を考える会