+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +
2021.09.18
決算特別委員会が終わりました
辻よし子です。
9月17日、9月議会の決算委員会が終わりました。
前年度1年間の市のお金の使い方をチェックする決算審査は、議会の役割の中でもたいへん重要なものです。
1年半前の予算編成の際に、議会でどんなやり取りがされたのか議事録で確認したり、1年間の入札状況の資料を担当課からいただいたり、
8月前半からぼちぼちと準備を始めました。
今回は下水道事業が新たに公営企業会計に移行したことや、非常勤職員の新しい制度が導入されたこと、コロナ対応の臨時的な事業が多かったことなどもあり、
予想以上に準備に時間がかかってしまいました。
最後は、まるで夏休みの宿題が終わらないうちに始業式が近づいてきた子どもの気分。
かなり焦りながら、最終的な質問内容や質問に使う図表を作りました。
そうやって迎えた決算委員会。決して十分とは言えませんが、市に対して、反省すべき点や今後の課題を示したつもりです。そのうちのいくつかを報告します。
①教員の働き方改革
2020年度から小中学校でも教員のタイムカードが本格的に運用されるようになりました。そこで、どのような値が出ているのか質問しました。
その結果
・校長 9時間39分
・副校長 10時間22分
・主幹教諭 9時間47分
・教諭 9時間32分
とのことが分りました。
あくまで平均ではありますが、9時間半といえば8時に出勤して5時半には帰れる時間です。
実は、2016年9月議会でも、教員の勤務時間に対する答弁がされています。そのときは、タイムカード導入前で各学校に聴き取り調査をしたとのことでした。
期間は、その年の4月~7月31日です。
・校長 10時間46分
・副校長 12時間30分
・主幹教諭 11時間21分
・教諭 11時間14分
なんと、1時間~2時間もの開きがあります。これをどう考えればいいのでしょうか。
そのことを課題として投げかけた上で、
「業務内容の変更をせずに、タイムカードの数値を見てしまうと、仕事の遅い人はプレッシャーになるだけ。
まずは学校全体で仕事を減らすことが先で、その成果を測るのがタイムカードであって欲しい。
また、学校の業務を減らすのには、学校だけでなく社会全体の理解が必要」等々を訴えました。
②コロナ対策としての子ども1人1万円の商品券配付事業について
約1億4千万円を掛けた事業です。私としては、コロナの影響の有無に関係なく、すべての世帯に子ども1人1万円の商品券を配ることには疑問があり、
この予算には反対をしました。市の説明では、子ども家庭への応援と共に、売り上げが低迷している地元個人事業主を支援することも大きな目的とのことでした。
そこで、どのような効果があったのか、市が商工会に委託料を払って実施したアンケート調査の結果を見せていただきました。
正直、たいへん驚きました。
コロナ対策として実施した事業なのですから、コロナの影響を受けた事業主がこの商品券事業によって売り上げを伸ばせたかどうか
効果測定しなければ意味がありません。巣ごもり需要によって売り上げを伸ばしている業種もあり、商品券の使われ方によっては、
儲かっているところがより儲かる、ということにもなりかねません。
しかし、そうした視点での調査項目がありませんでした。さらに、問題なのは、アンケート票の最初に
「商品券事業が事業所の経営支援に役立ったことや地域経済の活性化に効果的であったことが表れれば、
今後も行政から多大なご支援がいただけるものと見込まれます」と書かれ、そのための回答を求めていることです。
質問項目の中にも、効果があったという回答へ誘導するような記述が目立ちます。
原案は受託者が作成したとは言え、最終的なチェックが出来ていなかった市の責任は大きいと厳しく指摘しました。
今回の反省は、今後のプレミアム商品券事業にも活かすべきだと思います。
③2020年度から新たに導入された会計年度任用職員について
*あきる野市の規定では、期末手当が支給されるのは、週20時間以上勤務で、4/1~9/30の期間で6ヶ月、または、10/1~3/31の期間で6ヶ月勤務した場合が対象。
そのため、たとえば、勤務時期が6/1~11/30だった場合には6ヶ月連続して働いていても、対象外。
2020年度には、そうしたケースで支給されなかった人が2人いることが分りました。
制度の見直しが必要ではないかと求めました。
*会計年度任用職員制度には、パートタイムとフルタイムの2つがありますが、制度導入に合せてそれまでフルタイムで働いていた非常勤職員の勤務時間を短くしてしまい、
あきる野市をはじめ、ほとんどの自治体がフルタイムの会計年度任用職員を置いていません。
フルタイムは、パートタイムと異なり、退職金手当の支給や共済組合加入が可能となり、その分財政的な負担が大きくなるからです。
表向きは業務内容を見直した結果、時間を短縮できたということになっていますが・・・。
この問題について議会でも何回か取り上げましたが、成果を得ることはできませんでした。
ただ、パートタイムとフルタイムの線引きを、週当たりの勤務時間を37.5時間としている自治体が多い中、あきる野市では35時間にしました。
この点は評価しています。
では、昨年度のフルタイムに近い勤務をしているパートタイム会計年度任用職員の勤務状況はどうだったのでしょうか。
週35時間というのが頭にあったので、月4週×35時間=月140時間が上限かと思ったのですが、月150時間が規定の勤務時間で、
さらに残業をしているパートタイム会計年度任用職員がいたのには驚きました。
しかし、議会でのやり取りで明らかになったことは、週35時間というのは、1年間を平均して週35時間という意味。
1年間は52週なので、35時間×52週=1820時間を超えなければ良いということ。
さらに、そこに残業時間はカウントされないとのこと。これでは、限りなくフルタイムに近い勤務になってしまうのではないでしょうか。
パートタイム会計年度任用職員の残業が常態化することは問題ではないかと指摘しました。
また、保育士には、「勤務日数は週5日内、勤務時間は1日7時間30分」と、明らかに規程を超える条件で任用されているパートタイム会計年度任用職員が
いることが分りました。実際には、ここに書かれた時間よりも短い勤務実績で終わっているとは言え、規程を超える時間を表記することには問題があることを指摘しました。
④入札の在り方について(グラフ参照)
来月で議員になって、早くも、丸6年になります。
入札状況について調べるようになったのは、議員になって2回目の決算委員会からなので、今回作成したグラフで5年間の変化が比較できるようになりました。
その中で気づいたことは、工事の入札において1者しか応札しなかった事業が年々増えていることです。
応札者が増えれば落札率が下がるという傾向が、これまでの5年間のグラフからはっきり表れていますので、
やはり、1者応札が増えていることは好ましいとは言えません。
また、条件付一般競争入札に比べて、指名競争入札の方が1者応札になる割合が高いことも分かりました。
今回いろいろ調べて分ったことは、指名競争入札で1者しか応札しなかった場合には、入札をやり直すのが妥当するという考えが一般的だということです。
実際にそのような規程を設けている自治体もあります。
いくつかのグラフを議場のモニターで映して説明し、入札の在り方について検討する必要性を訴えました。
担当課からは他の自治体の状況についても調査し検討していくとの答弁がありました。
⑤疑問の多い区画整理事業
2020年度の決算は、2019年に工事を一時中断したことにより、少し分りにくい内容になっていました。
そこで、何点かおさらいをした上で、質問に入りました。
問題にしたのは、9月で事業費として約2億円もの補正額を計上したにもかかわらず、不用額が約3億円近くも出たことです。
受託業者との間で書類を整えるのに時間がかかり、予定していた工事が間に合わなくなったとのこと。
しかし、この事業では、市町村の工事ではあまり例のない5年半の包括的な契約をしています。
単年度契約であれば、予算が通ってから入札をして業者を決めることになりますが、すでに業者は決まっていたのですから、
6月の予算組の段階からそれなりの準備ができたのではないでしょうか。納得のいかない説明でした。
また、オオバへの12億2千万円の委託金額の妥当性を以前から問題にしています。
2020年度の委託では、わずか5ページの要綱を作るのに5人の技術者が関わり15万円の委託料が支払われています。
要綱を入手して読みましたが、どこにでも通用するような内容に感じられたので、「何かあきる野市特化した内容が含まれているのか」質問したところ、
やはり、標準的なものであるとの答弁でした。そうであれば、他市の要綱を参考に市の職員が作成することもできたのではないでしょうか。
事業の見直し検討会議の中でオオバへの委託料を削減することになっていますが、未だ、その具体的な中身は見えてきません。
まだまだ報告したいことはたくさんありますが、あまりに長くなってしまったので、これで終わりにします。
最後に、これまでの議会での質問を通して改善がされたもののいくつかを紹介します。
*2020年度の就学援助の認定者、申請者の割合が増加し、周知の努力が数値に表れていること。
*事務報告書における教育委員会指導室の記述内容が分りやすくなったこと。
*委員会、審議会の議事録について、HPに掲載される件数が増加していること。
*ひとり親家庭ホームヘルプサービスの基準が緩和され、利用者が増えたこと。
*下水道事業において、2020年度に予定されていた事業認可区域の拡大について、慎重な検討が必要として実施を見合わせたこと。
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