辻よし子と歩む会
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2019.06.21
天皇陛下御即位賀詞に関する決議

辻よし子です。

議会最終日の今日、「天皇陛下御即位賀詞に関する決議」が議員提出議案として出されました。

あきる野市だけではなく、自民党を通じて各地方議会で出されているようです。
最初提案された文章は、国会や都議会で出されたものとほぼ同じものでした。
そこには、天皇を崇める華美な言葉が並び、「一体、いつの時代?」と思わせるような文章でした。

自民党の提案に対して、公明党はすぐに賛同を決めましたが、共産党と会派未来
(立民、国民民主、無所属)は、難色を示しました。しかし、共産党は党として、
すでに国会や都議会で賛成をしています。会派未来は、文章を修正させることに重きを置きました。
それぞれ苦渋の選択として、両会派とも賛成に回りました。

私は、提出者の自民党に何点か質問をした上で、反対討論をしました。

質問の中で、私が、「祝意の決議は全会一致であるべき」と考える理由を述べ、
反論があれば聞きたいと言いましたが、「反論はない」と一言で終わったのには驚きました。

「議論をする必要はない。賛成多数なのだから」という、日頃から感じる、開き直った数の力の論理が、ここでも露骨に示されました。

以下が、私の反対討論です。最後に近隣の市議会で起きたことも書きました。
お読みいただけるとうれしいです。

(討論原稿)

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天皇陛下御即位賀詞に関する決議に対する反対討論

本案に反対する理由の一つは、この決議はそもそも地方議会の決議になじまないということです。
議会がおこなう決議とは、議会の意思を対外的に表明することであり、
地方議会においては、特に市民生活に関わる案件で、その必要が認められるときにおこなうべきものです。
たとえば、静岡県の伊東市議会では「市民生活に直接かかわる緊急、重大な事項に関し、
議会の意思を対外的に表明するために行う議決」と説明しています。
天皇の即位についてお祝いの意思を対外的に表明することが、あきる野市民の生活に直接かかわる緊急、重大な事項とは思えません。
決議には法的根拠がなく、とくに提出先があるわけではありません。
それにもかかわらずわざわざ議会の意志を表明するのですから、そこにはやはり、緊急性や重大性が必要です。

反対する二つ目の理由は、祝意や弔慰に関する決議というものは、
内心の自由に直接関わる問題であり、誰もが異論なく賛同できる内容に限定すべき点にあります。
市議会は言うまでもなく市民を代表する機関であり、市議会が祝意を決議するということは、
市民の気持ちや心のあり様を代表することになります。
しかし、天皇の即位に関して市民の捉え方は様々であり、即位を祝う気持ちになれない人もいるでしょう。
また、現在の象徴天皇制のあり方自体に疑問を感じている人たちも少なくありません。
そうした市民の心のあり様を「誠に慶賀に堪えない」という言葉で束ねることは、
市民の代表である議会が、考えを異にする個人の内心の自由を侵すことになります。
祝意や弔慰は、全会一致でなければ、決議できない性質のものなのです。

3つ目の反対理由は、このような決議を上げることが、天皇制に関する言論の自由を封じ込めることに繋がりかねないと危惧するからです。
「天皇は、憲法で定められた日本国の象徴であり、象徴としての天皇を敬い、
新天皇の即位を祝うのは、日本人である以上当たり前じゃないか」と、
まるでお祝いの気持ちを持たないことは悪いことであるかのような風潮が一部見られます。
今回の決議が、結果的にそうした風潮を助長することに繋がらないでしょうか。

言うまでもなく、憲法第1条では、日本国の象徴である天皇の地位は、主権の存する日本国民の総意に基づくと規定しています。
つまり、天皇の地位を決めるのは、主権者たる国民の側にあるということです。
5月に退位された前天皇は、天皇制の是非や天皇の戦争責任の問題など、天皇制をめぐる言論の自由について、新聞記者から意見を求められた際、
「言論の自由が保たれるということは、民主主義の基礎であり大へん大切なことと思っております」と答えています。
しかし、残念ながら日本における言論の自由は、決して十分に保障されているとは言えません。
国境なき記者団が毎年発表している国別の報道の自由度ランキングで、日本は今年も180か国中67位であり、
先進7か国中最下位です。また、国境なき記者団は、
ナショナリズムの台頭により世界の報道の自由度が下がっていると警告しています。

先週、同じ内容の決議を上げた青梅市議会では、採決に当たって、ひとりの議員が棄権するため退出しようとすると、
「非国民!このやろう」と、傍聴者からの罵声を浴びたそうです。
ちょうど市内の小学生が議会の見学に訪れており、傍聴席でその様子を見ていたとのことでした。
このような事態が生じたことは、今回の決議に賛同する議員のみなさんにとっても不本意なことでしょう。
しかし、この決議を上げることは、天皇崇拝の同調圧力を強め、自由な言論を許さない息苦しい社会を作ることにつながりかねません。
日本の言論の自由が、今どのような状況になるのか、世界的視野に立って、冷静に判断する責任が議会にはあるはずです。

以上、本議案の反対討論とします。


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