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2019.06.21
区画整理事業の抜本的見直しを求める陳情

辻よし子です。

議会最終日は、各常任委員会で審議された結果をもとに、各議案の採決がおこなわれます。
引田駅北口土地区画整理事業の抜本的見直しを求める陳情は、委員会と採決通り、不採択となりました。
この事業に賛成をしている自民党と公明党の議員が、陳情に対する反対討論をし、事業に反対をしている
共産党と私(会派くさしぎ)が賛成討論をしました。

この事業に関する討論は、これまで何回かおこなっていますが、今回は特に強い思いを込めた討論になりました。
事業が秒読みに入り、本当にこのままでいいの!?? と、心底思うからです。

長文になりますが、お読みいただけるとうれしいです。

(討論原稿)

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議席番号2番 会派くさしぎの辻よし子です。
武蔵引田駅北口土地区画整理事業の抜本的変更を求める陳情書に、
賛成の立場から討論します。

武蔵引田駅北口土地区画整理事業は、この秋に仮換地指定がされ、来年度は15億円を超える予算の下、
本格的な工事が始まろうとしています。
このまま事業を進めることによって生じる犠牲と、ここまで進んできた事業を見直すことで生じる犠牲。
どちらを選択しても犠牲が伴います。
もっと早い時期に、なぜ、この計画を中止、または抜本的に見直すことができなかったのか、改めて悔やまれ、
議員の一人として重い責任を感じています。

住まいにも、農地にも、一人一人のこれまでの暮らしが刻まれ、その価値は本人以外、誰にも測ることはできません。
その、生きてきた証とも言える住まいや農地に、一方的に値札をつけ、無機物のパズルをいじるように、
移動を強いるのが土地区画整理事業です。
すべての人が等しく満足できる換地など、到底不可能であり、照応の原則は有って無きに等しいと、
一番分かっているのは、施行者ではないでしょうか。
土地区画整理事業という手法を用いる以上、施行者がどんなに良心的に事業を進めようとしても、
犠牲者は生まれるのだということを、もっと早い時期に、私たちは認識すべきでした。
また、本事業では、株式会社オオバの提案によって、全域を申出換地の対象にするという、
照応の原則すらかなぐり捨てた乱暴な手法を、行政施行でありながら採用しました。

今後の日本の人口減少と高齢化は、数学の方程式のごとく、導き出される数値をいまさら大きく変えることはできません。
本事業では地区内の人口が現在の5倍に増えることを想定しています。
流入人口を増やす努力をまったく否定するわけではありませんが、一つの自治体の人口が増えたとしても、
その分、どこかの自治体の人口減少に拍車がかかるだけであって、結局、減っていくパイの奪い合いでしかありません。
それよりも、来るべき人口減少と超高齢化社会の中で、どうしたら人々が豊かに暮らすことができるのか、
未知の課題に、各自治体が手を取り合って臨むべきなのではないでしょうか。

武蔵引田駅北口土地区画整理事業の起債の償還は、今後20年以上、毎年約2億円の規模になるだろうとのことです。
財政破たんを招くような額ではないでしょう。
しかし、毎年2億円を、この期間、もっと別の事業に使うことができると想像してみたらどうでしょうか。

本事業では、広くて立派な都市計画道路が、わずか100mにもならない距離に平行して2本造られます。
現在の秋川駅北口の賑わい具合から想像すれば、「なぜ、今の時代に、そこまでの道路が必要なの?」というのが普通の市民感覚でしょう。
市は、踏切にかかる道路が将来立体交差になることを理由にあげますが、それはいつのことで、
そのときにあきる野市の人口や高齢化率はどうなっているのでしょうか。
広い道路を車ですいすいと気持ちよく走れる快適さと、誰もが肩身の狭い思いをすることなく
安心して福祉サービスが受けられる環境を整えることと、どちらに比重を置いて税金を振り分けるべきなのか……。
多くの市民、そして、これから生まれて来る将来のあきる野市民は、一体どちらを望んでいるでしょうか。

陳情要旨には、「農地と住宅地とを分離し、農地は区画を整理する事業のみとし、
住宅地は拡幅が求められる道路の整備と、早急な下水道建設を進めるものとする」とあります。
委員会審議では、本事業に賛成している委員から、仮にこの提案に従った場合、市の財政負担はどうなるか、という趣旨の質問が出されました。
それに対して、市は、試算の結果、むしろこの提案の方が市の負担が8億8千500万円多くなると答弁しました。
事業に賛成している委員が、このことを陳情不採択の理由にしたことは言うまでもありません。
市の試算では、2本の都市計画道路と幅員12メートル道路は現計画のまま整備し、
農地エリアは現計画と同様に土地区画整理事業で進めることを前提としています。
株式会社オオバへの委託料が現計画と同額計上されているだけではなく、追加委託料4千万円も加算され、
総額として現計画を上回る14億3千万円の業務委託料が計上されています。
しかし、陳情者の提案は、住宅地も農地も土地区画整理事業はおこなわず、
また、住宅地は必要とされる道路の拡幅と下水道整備のみに留める、というものでした。
この点については、委員会当日におこなわれた陳述の中でも確認されたことでした。
陳情者の意に反する内容で試算された数字をもとに審議がおこなわれたことは、大きな誤りだったのではないでしょうか。
2本の都市計画道路と幅員12メートル道路を盛り込んだ試算であり、それが陳情者の意に反することは、私が委員会で指摘しました。
しかし、土地区画整理事業としての業務委託料がそっくりそのまま計上されていることには、気づきませんでした。
事業の是非を議会で議論する際、行政は、法令上認められた範囲内で、可能な限りの情報を正しく、
明確に示し、賛成する議員も反対する議員も、それらの情報を十分理解した上で、共通の土俵に立って議論しなければなりません。

行政は、自分たちにとって都合の悪い情報を、ともすれば、あえて分かり難く、あいまいに、
嘘でない程度に誤魔化して示そうとする傾向はないでしょうか。
その技術に長けた役人こそが有能であるとすれば、こんな空しいことはありません。
私たち議員は、それを見ぬく力を日々磨くのだとすれば、それほど悲しいことはありません。
疑心暗鬼、人間不信に陥ることになるでしょう。
事業を進めることと止めることと、どちらの選択が、地権者の犠牲をより少なく抑え、
そして、あきる野市民の公共の福祉により多く貢献できるのか、この難しい判断を下すにあたって、
市長派と反市長派、与党と野党、行政と議会、といった対立構造の下に、勝ち負けの世界で議論していては、
決して正しい判断を下すことはできないでしょう。
そして、誤った判断をすれば、そのしわ寄せは、より弱い立場に置かれた市民にいくのです。

今回の陳情において提案された、農地エリアの土地区画整理事業によらない整備については、
難しい宿題だと捉えています。産業系企業が進出を予定している土地には35名の地権者がいますが、
その内、企業に土地の売却を希望している地権者は15名とのことです。半数以下です。
それにもかかわらず、企業に土地を売却できてしまうのは、土地区画整理事業という魔法の杖があるからに他なりません。
しかし、あまりにも弊害が大きい魔法の杖。この杖を使わずに、よりよい整備をするには、
まずは丁寧に地権者の意向を聞き直すことから始めるべきだと思います。

いずれにしろ、本陳情の提案内容を具体的に精査するには、事業ありきの偏った情報ではなく、
事業変更のための情報収集が不可欠です。
本陳情を採択し、秋に予定されている仮換地指定までの間に、行政と議会が一丸となって、
あらゆる事業変更の可能性を徹底的に検討することを求めます。
長い目で見れば、その作業は、行政にとっても、議会にとっても、そして市民にとっても、
決して無駄になることはないと確信します。

以上、本陳情に対する賛成討論と致します。



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