辻よし子と歩む会
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2017.3.24
長かった3月議会(2) 区画整理事業の特別会計予算

辻よし子です。

今日の議会で、もう一つ反対討論をしました。
それは、区画整理事業の特別会計予算についてです。
私の反対討論の前に、自民党最大会派の議員が賛成討論をしました。

その中に、
「区画整理事業は、都市計画を進める上で有効な手法」
「引田駅の区画整理事業は、説明会を重ね、これまでになくていねいにやっている」
という趣旨の発言がありました。
ちょうど私の反対討論の論点と重なり、「そうは言うけど、こうじゃないの?」という感じで反対しやすくなりました。

私が反対討論をしているときにずっと居眠りしていた賛成側のある議員が、そのまま採決のときにも居眠りしていて起立せず、
もうちょっとで反対票が1票増えるところでした。これが苦笑せざるを得ない、議会の現実です。

以下は、私の反対討論です。
またまた長文ですが、お読みいただけるとうれしいです。

~ 反対討論全文 ~
議席番号2番、会派くさしぎの辻よし子です。
議案第28号 平成29年度 あきる野市 秋多 都市計画事業 武蔵引田駅 北口 土地区画整理事業 特別会計予算に反対の立場から申し上げます。

 都市計画において、面的なまちづくりを進める上で、土地区画整理事業は、用地買収方式よりも便利な手法と言えるかもしれません。そのためか、平成12年に策定された「あきる野市都市計画マスタープラン」には、事前に地域住民との話し合いがないまま、ある意味、当然のように土地区画整理事業という手法が記載されました。
 しかし、一方で、土地区画整理事業は、公共用地を地権者全員が負担し合うなど、用地買収方式よりも、地権者の負担が大きい手法です。
 それだけに、土地区画整理事業という手法でよいのか、そもそも面的なまちづくりがどこまで必要であるのか、最初の段階で、地域住民と十分な話し合いをする必要がありました。
 それが抜け落ちたまま、都市計画マスタープランを策定したことが、引田駅北口土地区画整理事業の現在の問題にも、つながっているのではないかと思います。

 また、都市計画マスタープランが策定されてから、まちづくり協議会の立ち上げまでに8年、事業認可までには、15年が経っています。
 その間に、あきる野市を取り巻く環境も経済状況も変わり、地権者の平均年齢も上がり、生活スタイルも変化しました。
 当初の計画ありきではなく、その時点で改めて、これだけの規模の開発が本当に必要であるのか、今、地権者の望むまちづくりはどのようなものなのか、計画変更も視野に入れて、検討すべきだったのではないでしょうか。

 なぜ、それができなかったのか。
 それは、市とごく一部の地権者が考えるまちづくり案を、唯一の青写真として掲げ、多くの地権者の多様な考えを受け入れようとする姿勢に欠け、半ば、強引に突き進んでいったからではないかと思います。
 そのことは、まちづくり協議会や説明会の議事録を見れば明らかです。原案どおりに、すんなりとまとまるように、事前に準備がされ、たとえ、反対意見が出されても、まともに扱われることはありませんでした。
 議事録の中には、道路網計画を巡って、
 「個人の意見を反映しようとすると、基本計画がまとまらないので、その前に意向調査と説明会はおこなわない」という象徴的な記述も見られます。
 議事録に残されているこうした問題点については、これまでも議会の中で、指摘してきました。しかし、残念ながら、市は、その非を認めることなく、むしろ、説明会の回数の多さを掲げ、引田駅北口土地区画整理事業は、これまでになく、ていねいに進めてきた事業だと主張されてきました。

 では、一体、あきる野市が掲げる市民と協働のまちづくりとは何なのでしょうか?
 市の計画に賛同する市民だけが、まちづくりに参加すればよいのでしょうか?

 「市民と協働のまちづくり」において、本来の主役は市民です。
 市が立てた計画に市民が従うのではなく、市民の意見の集約を計画につなげるべきです。
 様々な立場の、様々な考えを持った市民が意見を出し合い、まちづくりを進めるには、確かに多くの時間と労力が必要です。
 また、個々人のエゴが前面に出れば、まちづくりはできません。まちづくりに参加する市民は公共空間としてのまちづくりと、個人的な希望とに折り合いをつけなければなりません。
 そのことを市民が学ぶことも、また「市民と協働のまちづくり」の大切なプロセスであり、その交通整理が、市の重要な役割なのではないでしょうか。
 また、市民の間で、都市計画に関する知識や理解には開きがあります。それを調整するのもまた、市の大切な役割です。

 予算審議の中で、換地設計基準は専門的で難しいので、審議会委員に対しては勉強会を開いているが、地権者を対象にした説明会は一切おこなうつもりはないという答弁がありました。つまり、一般の地権者は、換地設計基準の中身を理解しなくて良いということです。これは、地権者に対して、たいへん失礼な話です。

 換地設計基準とは、区画整理をおこなう前の土地をどのような基準で、区画整理後の土地と取り換えるのかを定める「ものさし」です。たとえば、私道については換地の対象になるのか、ならないのか、小宅地の扱いをどうするのかなど、地権者にとって重要な事項です。
 羽村駅西口土地区画整理事業では、土地区画整理審議からの換地設計基準の答申を受けて、市が換地設計基準の説明会を開いています。

 当該地をブロックに分け、ブロック別の説明会を各1回、全体の説明会を2回、2か月かけておこなっています。
 説明会では、
 「私道はなぜ換地できないのか」「減歩率の最高限度の意味を教えて欲しい」「土地評価基準の説明会はおこなわないのか」「換地の例外措置に基準はあるのか」など、数多くの質問がだされ、それぞれに市が回答をしています。説明会を開く一つの意義は、他人の質問とそれに対する回答を聞くことによって、参加者みんなが理解を深められる点にあります。
 そもそも複雑でわかりにくい土地区画整理事業という手法を市が用いる以上、選ばれた一部の地権者に対してだけではなく、一般の地権者も理解ができるよう、市は説明に努める責任があります。
 なぜなら、理解に差が生じれば、平等に意見を言うことができないからです。また、区画整理審議会の公正性を担保することもできません。これは、民主主義の根幹にかかわる重要な問題です。

 「市民と協働のまちづくり」を掲げるあきる野市が、その看板に恥じないまちづくりをするためには、まず、これまでの区画整理事業の進め方が本当良かったのか、誠実に振り返ること。
 そして、地権者の理解と合意を得るために、
 今後の工程を、抜本的に見直すことが必要なのではないでしょうか。

 以上をもって、平成29年度 あきる野市 秋多 都市計画事業 武蔵引田駅 北口 土地区画整理事業 特別会計予算に対する反対討論といたします。

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