+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +
2024.12.19
12月議会が終わりました
辻よし子です。
12月議会が終わりました。
今回は、私が所属している環境建設委員会に諮られた議案が多く、その分、討論は少なくなりました。委員会で既にたっぷり意見は述べていますので……。ただ、本会議で委員長から報告される内容は、たくさん述べた意見のほんの一部になってしまうのが、残念。他の議員の討論を聴いていたら、改めて討論をしたくなってしまいました。
さて、本日、私が討論をしたのは2つです。
●1つは、いきいきセンターの修繕を求める陳情です。

今後、公共施設の再編を進めていく中で必ず起きる問題で、最初の試金石とも言えます。私としては継続審議にすべきだったと思いますが、その選択肢が残されていないため、市民との合意形成の必要性を強調し、賛成の討論をしました。討論をしている途中、陳情に反対する自民党議員から大きな溜息が聞こえてきました。ある意味、野次よりも失礼な態度であり、数の奢りを強く感じました。
陳情は、自公が反対をして不採択になりました。
以下の、討論をお読みいただけるとうれしいです。
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陳情第6-10号 「いきいきセンターリフレッシュゾーンのボイラーを早期に修理し、市民が使用できるようにするための陳情」に賛成の立場から討論します。
本陳情は、いきいきセンターのボイラーを早期に修理し、水着リフレッシュゾーン等の利用を、再開するよう求めたものです。
陳情者は、いきいきセンターが、地域住民にとってコミュニティの絆を深めるための居場所となっていること、また、高齢者や障がい者にとっては、自らの健康を管理し、生きがいを得る場にもなっていること、そのため、市民プールやファインプラザでは代替できない存在であることを訴えています。
いきいきセンターのボイラーが故障により緊急停止をしたのは、今年の6月20日です。それから半年経った今も、水着リフレッシュゾーンをはじめ、サウナ室及び小浴場の休場が続いています。
この間、市には修繕を求める市民の声が多く寄せられ、市議会では関口えりこ議員が9月定例会議の一般質問で早期の再開を要望しました。これらの求めに対して、市は、公共施設の再編等に関する実施計画が策定中であることを理由に、現時点の修繕は出来ないとしています。
しかし、同じく実施計画を策定中である、屋内市民プールとファイプラザについては、いずれも昨年度、修繕がおこなわれました。修繕費は、屋内市民プールが1282万円、ファインプラザが1380万円、決して小さな額ではありません。
なぜ、いきいきセンターについては修繕をせず、他の2つのプールについては修繕をしているのでしょうか。市の説明としては、利用状況、立地特性、市民への影響等を総合的に判断したとのことでした。しかし、本来の総合的な判断は、実施計画が固まった段階で下されるべきものではないでしょうか。
いきいきセンターと同様に、現在、実施計画策定中の公共施設は全部で40施設あり、早いものは今年度中に策定され、来年度中にはすべての実施計画が示されることになっています。これらの実施計画は、2021年6月に策定された公共施設等個別施設計画に基づくものであり、40施設を含めたひとつひとつの公共施設について、「現状維持」か、「集約化もしくは縮小」か、あるいは、「廃止」か、2021年6月の段階において、すでに、大まかな再編の方向性が示されています。
もし、仮に、屋内市民プールとファイプラザは「現状維持」、いきいきセンターは「廃止」という、異なる方向性が示されているのであれば、現時点で修繕をするか、しないかの判断が分かれるのも理解できます。しかし、3施設は共に「集約化・縮小」という同じ区分に入っているのです。それにもかかわらず、なぜ、いきいきセンターだけ修繕をしないのか、陳情者の納得が得られないのも当然と言えます。
公共施設は、設置の背景や目的、機能や利用状況、地域特性等が施設によってそれぞれ異なり、限られた財源の中で再編計画を立てることが非常に難しいことは、十分理解できます。そのため、「利用度評価」「設置義務性」などの客観的な指標を用いて、まずは市が、再編の大まかな方向性を示すことに異論はありません。
しかし、その先の実施計画においては、より詳細なデータを集め、分析するだけではなく、施設を利用している市民や地域住民の生の声や思いを丁寧に拾い集め、総合的な判断の中に組み入れることが不可欠です。
共施設は、人々に利用されることによって、その存在価値が高められ、地域住民や利用者の生活に深く根ざした施設へと、長い時間をかけて育っていくものだからです。そのような施設が持つ価値や意義については、利用者数などの客観的な指標で現わすことは難しく、また型どおりのアンケート等で分かるものでもありません。
ところが、市には、利用者や市民の声を聞いて実施計画を策定しようとする姿勢が見られません。福祉文教委員会の答弁では、実施計画のパブリックコメントは行うものの、説明会については、実施計画策定後、具体的な方針を決める段階で、必要に応じて行うという消極的な姿勢でした。
これまでも何回か議会で述べてきた通り、市民サービスを拡大していく右肩上がり時代よりも、市民サービスを削減していく縮小社会の今の時代の方が、より丁寧な合意形成が求められます。トップダウンや数の力で強引に削減を進めてしまえば、行政に対する信頼感は失われ、住民同士の対立は深まるばかりです。
最終的には施設を廃止や縮小せざるを得ないにしても、それまでの検討過程において、あきる野市の財政状況とその中で可能な市民サービスの全体像を市民と共に考えること、削減する公共サービスを補うための代替機能について智恵や工夫を市民と共に出し合うこと、こうした作業があるかないかによって、市民と行政、市民と市民の関係性は大きく異なってくるはずです。
本陳情では、早期の修理を求めていますが、本施設はもともと冬季期間中は休館であることも踏まえ、「早期」については、ある程度幅をもった解釈も可能です。議会としては、継続審議とし、修繕の内容や費用を改めて確認し、利用者や地域住民の声を聞き、陳情者が訴える福祉的機能を強化した施設としての可能性を探るなど、十分な調査・検討を重ねた上で慎重に陳情の可否を判断すべきなのではないでしょうか。
しかし、委員会審議においては、本陳情に反対する委員から、いきいきセンターの費用対効果が低いことや、水着リフレッシュゾーンは他の2つの温水プールで代替可能であること等が強調され、水着リフレッシュゾーンの廃止・縮小を前提にしたような意見も出され、不採択となりました。そのため、陳情に反対することは、水着リフレッシュゾーンの廃止を現時点で方向付ける恐れがあり、反対するわけにはいきません。すでに継続審議という選択肢がない中、公共施設の再編には市民との丁寧な合意形成が不可欠であるという観点から、本陳情には賛成といたします。
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●2つめの討論は、本日上程された議員提出議案に対する反対討論でした。

「多様な人材の地方議会への参画促進を求める意見書」として、3つの項目を挙げていますが、意見書を出す狙いは、2つめの後段に書かれた「厚生年金へ地方議会議員が加入できるための法整備」にあることは明らかです。これまで会派代表者会議で何回か話し合われて来ましたが、全会派の賛同が得られなかったため、見切り発車をした形です。すっきりと厚生年金加入に絞った意見書を出せばよかったのではないかと思いますが、なぜか男女共同参画のこと等も盛り込まれました。ちなみに、提出者の自民党会派は、11人全員が男性です。まずは足元からでは、と思いますが。
そして、賛成討論をした自民党議員は、男女共同参画等については触れず、厚生年金加入に絞って賛成討論をしました。結果は、自公・立憲の賛成で可決されました。なお、まったく同じ文面の意見書があちこちの地方議会で出されているようです。
以下の反対討論をお読みいただけるとうれしいです。
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議員提出議案第6-4号 「多様な人材の地方議会への参画促進を求める意見書」に反対の立場から討論します。
日本において、主権者教育並びに政治分野における男女協働参画の推進が必要なことは言うまでもありません。
特に、政治分野における男女協働参画については、日本は世界から大きな遅れを取っており、そのことは世界ジェンダーギャップ指数をはじめとする様々な指標やレポートによって明らかにされてきました。しかし、日本の現状はなかなか変わりません。足元のあきる野市の状況を見ても、本定例会議の一般質問で取り上げた通り、各種委員会等における女性委員の比率は低迷したままです。
本意見書では、「議員活動と出産・育児・介護等の両立やハラスメント防止のための取組みに対する支援」が掲げられています。もちろん、こうした環境整備も重要ではありますが、それと共に、政治の世界には男尊女卑の価値観がいまなお根強く残っていることを、政治家自らが自覚し、自己改革しなければ、政治分野における真の男女協働参画は、決して実現できないでしょう。
立候補に伴う休暇制度や議員活動のための休職、任期満了後の復職などの環境整備については、すでに昨年3月、総務省から日本経済団体連合会及び全国商工会連合会に対して、協力を求める要請書が手渡されています。これは地方自治法改正の附則に、「政府は事業主に対して自主的な取組みを促すこと」が記されたためです。具体的な就業規則の見直しは企業側に委ねられており、今後の動きを注視したいと思います。
以上の通り、意見書に掲げられた第1項目と第3項目、そして、第2項目の前半部分の内容については、反対ではありません。本議案に反対する理由は、第2項目の後半部分、「厚生年金への地方議会議員が加入できるための法整備」にあります。
議員のなり手不足の根本的な原因は、議員の仕事に魅力を感じる人が少ないからです。まずは議会の在り方を見直すことが何より重要であり、議会改革が不十分なまま、なり手不足を理由に、議員報酬や年金など、議員自らが更なる経済的安定を求めることには同意できません。特に、年金については、厚生年金に加入していた被用者が地方議員になったとしても、それまでに支払った分が無駄になるわけではないはずですし、国民年金だけになることが不安なのであれば、まさに当事者として、誰もが安心できる国民年金制度へと改善していくことが政治家の務めだと思います。国民年金に頼らざるを得ない人々を置き去りにしたまま、地方議員だけが厚生年金に加入することに、果たして市民の理解は得られるでしょうか。
地方議員の厚生年金への加入が、既に廃止となった議員年金制度を復活させるものでないことは承知しています。しかし、地方議員が厚生年金に加入することになれば、厚生年金保険料は労使折半であるため、公費負担が発生します。現在のあきる野市議会議員の報酬額と厚生年金保険料率18.3%から試算すると、市の負担は年間おおよそ1500万円になる予測です。
また、特権的と批判されていた議員年金制度は、財源不足に陥り2011年に廃止されましたが、当時の加入者である元議員への給付は、結局、税金によって賄われています。あきる野市における議員共済会共済年金給付費負担金は、2023年度の決算額で3413万3,400円に上り、しばらくは負担金の支払が続きます。
今後、市の財政状況はさらに厳しさの増すことが避けられない中、新たな経常支出を生み出す、議員の厚生年金加入には、到底、賛成できません。
以上、本議案の反対討論とします。
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