+ + + あきる野市議会議員辻よし子の議員活動報告 + + +
2018.12.20
12月議会が終わりました
辻よし子です。
今日は12月議会の最終日。私は3つの討論をしました。
①「日米地位協定の改定を求める陳情」に対する賛成討論。
②「森林環境税の活用に関する意見書」に対する反対討論。
③あきる野ルピアの指定管理の指定についての賛成討論。
①は、反対多数で不採択。②は、賛成多数で可決。③は、全会一致で可決でした。
日米地位協定の改定を求める陳情については、最初に共産党の議員が賛成討論をしました。
沖縄で起きた米軍機の部品落下事故をきっかけに、沖縄の母親たちが日米地位協定の改正に声を上げている話から始まり、
私の討論内容とは少し違った角度からの討論で、とっても良かったです。
続いて、自民党の議員が反対討論をしました。
日本政府が日米地位協定の「運用の改善」を求めて取組んでいることや、「環境補足協定」「軍属に関する補足協定」の締結について言及し、
政府が日米地位協定のあるべき姿を求めて取り組んでいるところなので、地方議会から意見書を出すことには反対、という主旨でした。
しかし、基地を持つ全国の知事会からは、「運用の改善」や「補足協定」では埒が明かないので、
国に日米地位協定の抜本的な改定を求めているのです。
最後に私が賛成討論をしましたが、この点も討論に盛り込んでいたので、自民党の反対理由に反論する形になりました。
20分程のやや長めの討論になり、自民党議員の多くがうんざりしながら聴いている姿が目に入りましたが、
傍聴席でしっかり聴いてくださっている市民や、長年に渡り基地問題に取り組んでいる多くの市民の方々のことを思いながら討論しました。
長文になりますが、賛成討論の全文を下記に載せます。
お読みいただけるとうれしいです。
* * * * * * * * * * * * * * *
議席番号2番 会派くさしぎの辻よし子です。
陳情第30-4号 日米地位協定の改定を求める陳情に、賛成の立場から意見を述べます。
私は、日米地位協定が結ばれた1960年、安保の年に生まれました。
実家は国分寺ですが、当時の立川米軍基地に比較的近く、空軍の起床ラッパの音や飛行機のエンジン音が我が家からも
よく聞こえていたことを覚えています。砂川闘争がなければ、1977年の立川米軍基地返還までの間、
もっとひどい騒音に悩まされていたかもしれません。
あきる野市草花に暮らし始めてからは、横田基地の飛行機のエンジン音や国歌の演奏が風の向きによって、
時折、自宅まで聞えて来ることがあります。しかし、それ以上に迷惑千万極まりないのが、上空を旋回するC130輸送機の爆音と、
今年の夏ごろから頻繁に通過するようになった欠陥機と言われるオスプレイCV22の存在です。
草花の永田橋近くに住む陳情者の一人は、11月15日の夜、オスプレイが自宅の真上を飛んだときのことを、こう語っています。
「バリバリという爆音が耳を揺さぶったかと思うと、家じゅうの窓ガラスが鳴り、屋根が巻き上げられるような突風が来た。
幸い、家は無傷だったが、『だめだ、屋根が飛ばされる』と思った数秒間の恐怖は忘れることができない。」
米軍機による騒音等の影響は、同じあきる野市内でも地域によってかなり違いがあるようですが、
オスプレイが市民生活に深刻な影響を与えていることは事実です。
本陳情で改定を求めている日米地位協定は、米国が他の国々と結んでいる地位協定に比べ、著しく不平等な内容の協定です。
しかし、協定が結ばれてから60年近く、一度も改定されることなく今日を迎えてしまいました。
ようやく最近になって、全国知事会をはじめ、日本各地で、日米地位協定の改定を求める声が上がり始めました。
既に20年近く前から日米地位協定の見直しを訴えて来たのは、米軍基地が集中する沖縄です。
沖縄の人々が、本土復帰後も基地問題に苦しみ、安全な暮らしを求めて長年闘い続けて来たことを思うと、
日米地位協定の改定にもっと早く全国的な運動として取り組むべきであったと自戒を込めて言わざるを得ません。
総務委員会の審議の中では、公明党の委員から
「沖縄は日本全体の70%の基地を抱えている。その沖縄の負担の軽減や危険性、そういった部分が陳情理由の中には入っていないので、
この陳情理由を元に、日米地位協定の改定を政府に求めることには同意しがたい」
との発言がありました。
しかし、今回の陳情は、あきる野市議会への陳情であることから、陳情者は敢えて、
あきる野市が抱える横田基地の問題に絞って陳情理由を挙げたまでです。
また、同じく公明党の委員から
「この陳情は、横田基地の騒音やオスプレイに対する不安を主な陳情理由にしている。
一自治体の不安だけを地位協定の見直しの理由にあげている点は、
なんのために地位協定を改定するのかという本質的な部分が、若干それているように思えた。」
との発言もありました。
しかし、不平等な日米地位協定によって具体的な被害を横田基地から受けている当事者が、
当事者性に焦点をあて陳情理由を挙げることが、果たして問題の本質からそれることになるのでしょうか。
自らの暮らしの困り事から、社会の仕組みを考え直し、国政に声を上げることは、主権者として当然の行為であり、民主主義の原点です。
また、日米地位協定の改定を願う人々は、誰しも自分の地域の基地問題だけの解決を考えているわけではなく、
日本全国の基地問題、とりわけ沖縄の基地問題に心を痛め、基地問題全体の解決を願っていることは言うまでもありません。
全国知事会の提言においても、沖縄における米軍基地問題を地位協定改定の中心課題に据えています。
本陳情では、陳情者が総務委員会の委員6名を前に陳述をおこない、その中で、沖縄の基地問題にも言及しました。
陳情が沖縄の基地問題にふれていないことを反対理由に挙げるのであれば、少なくとも陳述の機会に、
陳情者の沖縄の基地問題に対する認識を確認しておくべきだったのではないでしょうか。
しかし、陳述では、どの委員からも質問は一切なかったと聞いています。
さらにまた、本陳情では、政府に出す意見書の文章を限定しているわけではありません。
あきる野市議会として、沖縄の基地問題を含めた意見書を作成することもできるはずです。
ご存じの通りあきる野市並びにあきる野市議会では、C130輸送機の騒音問題やオスプレイの危険性について、
繰り返し日本政府へ改善を求めてきました。
しかし、なにひとつ具体的な前進は見られていません。
総務委員会では、自民党志清会の委員から
「現在、国においては、日米地位協定の運用の改善を求めて取り組んでいる。
また、先の衆議院代表質問の中でも、国として日米地位協定のあるべき姿を不断に追及すること、
日米間の様々な課題について政府としてしっかりと取り組むことが述べられている。
このように国としての姿勢がすでに明らかにされている中で、この意見書を出すことがプラスになるとは思われないことから、
本意見書については反対する。」
との意見がありました。
しかし、「日米地位協定の運用の改善」では根本的な問題の解決にならないからこそ、日米地位協定そのものの改定を求めているのです。
今年7月30日、基地を持つ都道府県の知事会である渉外知事会から、
「日米地位協定の改定に向けた新たな取組み及び米軍基地負担の軽減に関する特別要望」が出されました。
その重点要望には、次のように書かれています。
「当協議会では、基地をめぐる様々な問題を解決するため、国内環境法令の適用、裁判権の見直し、
日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者が参加する地域特別委員会を設置することなど、
日米地位協定に係る提案を行い、繰り返し改定を求めてきた。
こうした中、日米地位協定を環境面から補足する「環境補足協定」や、軍属の範囲を明確化する「軍属に関する補足協定」が
日米両国政府間で締結されたものの、依然として、多くの基地問題は、発生する都度、運用改善で対応されてきた。
当協議会においても、運用改善で対応できるものは積極的に取り組むべきと考えるが、米軍基地に起因する環境問題、
事件・事故等を抜本的に解決するためには、日米地位協定の改定は避けて通れないものと考える。」
つまり、運用改善では埒が明かないから地位協定の改定を求めているわけです。
それにもかかわらず、「運用の改善」というこれまでと何ら変わらない国の姿勢を、地位協定の改定と同列視し、
国の姿勢がすでに明らかにされているのだから、地位協定の改定の意見書を市議会から出してもなんらプラスにならないというのは、
認識不足と言わざるを得ません。
全国知事会が、今年7月国に提出した「米軍基地負担に関する提言」では、第2項として次のように記しています。
「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、
事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」
この提言にあるように、あきる野市上空を米軍機が夜間もおかまいなしに飛び回り、
学校や幼稚園・保育園、病院等の上を平気で低空飛行できるのは、米軍機には日本の航空法が適用されないからです。
その一方で、日本国内にある米軍住宅地の上で米軍機が低空飛行することは絶対にありません。
米軍機は国外にあっても自国の国内法の制約を受けているからです。
このこと1つをとっても、日米地位協定がいかに不平等な内容になっているかは明らかでしょう。
渉外知事会では、日米地位協定の改定にあたって、
「市街地や夜間、休日等の飛行制限、最低安全高度を定める国内法令の適用等、
航空機の騒音軽減措置や飛行運用に関する制限措置を行うこと」
という条項を加えるよう要望をしています。
また、あきる野市内で米軍機あるいは横田基地の軍人が事故や事件を起こした場合、沖縄の例を見れば明らかなように、
米軍からあきる野市や被害者へ詳しい情報が提供されることは、まずありません。
さらに、被害者への適切な補償もされることはないでしょう。
米軍には基本的に治外法権が認められており、日米地位協定には事件や事故に対する米軍の義務も明記されていないからです。
他に、日米地位協定には基地内の環境問題に関する条項もありませんし、国内の環境法令も適用されません。
従って、基地内の環境問題が、あきる野市民の生命や健康に、重大な影響を及ぼす危険性もあるということです。
以上、いくつかの問題点を見るだけでも、日米地位協定の改定が、市民の命と安全な暮らしを守るために喫緊の重要課題であることは明らかです。
米国は、1995年時点でも45か国と地位協定を締結しています。
その中で、日本と同じ敗戦国であり、大規模な米軍基地があるドイツ、イタリアの地位協定を見ると、
日米地位協定がいかに不平等であるかが良く分かります。
ドイツと米国の地位協定では、航空法や騒音に関する法律など、ドイツの国内法が米軍にも適用されています。
イタリアでも米軍の訓練行動等に対するイタリア法規の遵守義務が明記されています。
日本では、米軍の軍事訓練や演習に関する規制の権限はなく、訓練や演習に関する詳細な情報が知らされることはありませんが、
ドイツやイタリアでは、事前の通知はもちろん、訓練や演習に対して受入国の許可や承認が必要とされています。
また、ドイツでは、米軍基地司令官と周辺自治体の首長等をメンバーとする騒音軽減委員会を設置し、
航空機の離発着回数などが詳細に報告され、周辺自治体からの意見を米軍が聴取する仕組みが作られています。
日本では基地周辺自治体が、地域委員会の設置を求めていますが、未だに実現していません。
ドイツ・イタリア両国共、地位協定締結当初は、現在の日本と同じように不平等な内容になっていましたが、
国内における米軍機の事故をきっかけに地位協定の改定を求める世論が高まり、その声を背景に政府が交渉を重ね、改定を勝ち取りました。
それに比べ、日本は一度も地位協定の改定をしていないばかりか、軍事をめぐる日米関係は、国際社会から見て極めていびつです。
1952年のサンフランシスコ条約および日米安全保障条約の締結、そして、1960年の日米安全保障条約の改定および日米地位協定の締結は、
一般的に、占領から独立へ、片務的関係から双務的関係へと、発展的に捉えられています。
しかし、こうした表の歴史とは別に、当時の市民には知らされていなかった裏の歴史があったことが、研究者の手によって明らかにされています。
すなわち、吉田首相とクラーク大将が1952年に結んだ指揮権密約、マッカーサー駐日大使と藤山外務大臣が1959年に結んだ基地権密約文書など、
様々な密約が当時の日本政府と米軍との間で交わされていました。
その結果、米軍は日本国内のどこにでも基地を置くことができ、その基地を拠点に自由に軍事行動ができるという、
独立国では考えにくい日米関係が築かれてしまいました。
さらに、日米地位協定とは別に、日米合同委員会および日米安全保障協議委員会の合意議事録は日米地位協定と同じ効力を持つという、
驚くべき取り決めがあります。
月2回開かれる日米合同委員会は、日本側は外務省北米局長を筆頭に法務大臣官房長や財務大臣官房審議官など政府高官が出席しているのに対して、
米国側は、在日米軍司令部司令官をはじめ在日海軍司令部参謀長など大使館公使を除いてすべて軍人です。
会議の内容は一部しか公開されず、決定した内容は国会の承認を得ることなく効力を持ちます。
会議のイニシアティプが米軍側に握られていることは想像に難くありません。
このように、日本は軍事面において、未だ米国の統治下にあると言っても過言ではないでしょう。
敗戦以来続くこの日米関係を対等なものに変えていくのは容易ではありませんが、
日米地位協定の改定が、その大きな一歩になることは間違いありません。
そのためには、ドイツやイタリアがそうであったように、政府の交渉を後押しする世論の醸成が不可欠です。
民主主義を標榜する米国にとって、受入国の世論を完全に無視することはできないはずです。
沖縄が決してあきらめることなく声を上げ続けているように、あきる野市はあきる野市として横田基地からの被害を訴え、
そして、特に、今は、全国知事会と足並みをそろえ地位協定の改定を求めていくべき時ではないでしょうか。
あきる野市民を代表する私たち市議会には、その重要な役割が課されています。
あきる野市議会が本陳情を採択し、日本政府へ日米地位協定の改定を求める意見書を提出することが、
多くのあきる野市民の願いであることを確信し、本陳情に賛成します。
以上、陳情第30-4号 日米地位協定の改定を求める陳情の賛成討論とします
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最終日の報告の続きです。
森林環境税の意見書は、自民党議員が中心になって提出した議案です。
残念ながら反対したのは私の一人でした。
森林環境税そのものがたいへん問題の多い税制度である上に、意見書に上げている要望内容が地方自治の精神に反するため、反対をしました。
討論が終った後、議案に賛成をした保守系の長老議員から、
「賛成・反対で意見は分かれたけれど、辻さんが討論で言ったことは、本当にその通り。感服しました」
と言っていただいたのは、うれしかったです。
予め賛成反対を決めた上で議会に臨む、今のような形式的な議会ではなく、本当の意味で討論をおこない、
熟議した上で採決をするような、そんな議会にしたいものです。その道のりは、果てしなく遠い気がしますが……。
以下、森林環境税についての反対討論を載せます。
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議席番号2番 会派くさしぎの辻よし子です。
議員提出議案 第30-2号 森林環境税の活用に関する意見書について、反対の立場から討論します。
意見書の内容について論じる前に、仮称・森林環境税そのものの問題点について触れておきたいと思います。なお、以下、仮称は省略します。
森林環境税は、市町村民税の均等割りに1000円上乗せする形で国税として国が課税するものです。
国税を地方税制度に乗せる形で、市町村が国に代わって徴税し、集めた税を国に納め、国がそれを市町村に再配分するという、
かつてない、特殊な形になります。これに併せて、各市町村ではいずれ税のシステムを変更せざるを得なくなるでしょう。
国は平成30年の税制大綱で、森林環境税の目的を「森林吸収源対策に係る地方財源の確保」とし、
「パリ協定の枠組みの下における温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止を図るための森林整備」だとしています。
温室効果ガスの削減や災害防止は、その効果が特定の個人に還元されるものではなく、多くの人々が広く恩恵を受ける、
「公益」的なものです。しかし、公益的だからと言って、国税を所得に関係なく均等割で課して良いのでしょうか。
もし、それを許してしまえば、公益性を含む様々な施策に均等割が課されることになり、所得格差が際限なく拡大することになります。
森林環境税は、悪名高き人頭税化につながる危険な税だと言われる所以はここにあります。
森林環境税は2024年度からスタートする予定ですが、2019年度から森林環境譲与税という名で税の分配だけが先行して行われます。
その間、譲与税特別会計から借金をするという、たぐいまれな手法が使われます。
果たして、日本の森林環境はそれほど切迫した状況にあるのでしょうか。
現在、日本社会は、子どもの貧困問題や、高齢化社会に伴う交通弱者の増大など、森林環境以外にも、数多くの課題を抱えています。
なぜ、森林の整備だけに新しい税が創設され、しかも前倒しで分配されるのか、納得のいく根拠は示されていません。
森林環境譲与税は、各市町村の私有林の人工林面積、定住人口、林業従事者数に応じて分配されます。
その割合は、人工林面積割が10分の5、人口割が10分の3、林業従事者数割が10分の2です。
森林環境税の目的が、温室効果ガスの削減と災害防止のための森林整備であることを考えれば、
人口割が3割を占めることは、誰の目から見ても奇異に感じられることでしょう。
結局、森林を有しない都市住民に増税の目的を納得してもらうことが難しいため、
分配率を高くすることで反発をかわそうとしているとしか思えません。
しかし、そのことによって、森林環境税は、ますます訳の分からない税になりました。
森林面積の多い地方の自治体よりも、森林を持たない都市部の自治体に多くの税が分配され、
また、税の使途は、都市緑化や国産材の消費まで幅広く認められることになりました。
公共建築に割高な木材を使用するために、わざわざ新しい税を創設し、貧しい人からも一律に国税を徴収することが、
果たして許されるのでしょうか。
ちなみに、来年度当市に配分される森林環境譲与税の見込み額は819万円であるのに対して、世田谷区は3400万円、
2033年度以降、当市は2760万円であるのに対して、世田谷は1億1500万円になる見込みです。
さらに、森林環境税とセットになっている森林経営管理法は、一般質問でも取り上げた通り、大へん問題のある法律です。
法律の成立過程を見ても、専門家による検討会や審議会での検討が不十分であり、パブリックコメントもされず、
極めて異例であったと言われています。
さて、このように疑問だらけの森林環境税を、市町村がどのように利用すべきかは、悩ましい問題です。
本意見書案では、「都内の区市町村に交付される譲与税が、多摩産材などの東京都の森林のために活用されるよう積極的に働きかけること」
を要望の一つに挙げています。
先ほど紹介したあきる野市と世田谷区に分配される税の見込み額を考えれば、そのように要望したくなる思いはよく分かります。
しかし、各自治体に分配される譲与税の使い途は、税の目的の範囲内で、各自治体の創意工夫により有効な活用を考えるべきであり、
東京都が区市町村に対して「このように使うべきだ」などと働きかけることは、明らかに地方自治の精神に反します。
また、意見書案では、「東京都の面積の約4割は多摩・島嶼地域の森林であり、その恩恵を受けるべきは東京都民自身であることを考えると、
東京都や都内の区市町村に交付される譲与税は、東京都の森林のために活用されるべき」と書かれています。
しかし、東京都民が恩恵を受けている森林は、必ずしも都内の森林だけとは限りません。
水道水を考えても78%は利根川および荒川水系から供給されおり、水源林は山梨、埼玉、長野、群馬にまたがります。
また、温室効果ガス排出削減という目的から考えれば、どの地域の森林から恩恵を受けているかという狭い範囲の話でありません。
結局、問題は、自治体の税の使い方にあるのではなく、国の税の分配の仕方にあるのです。
温室効果ガス排出削減と災害防止を図るために森林整備を進めるのであれば、本来は、地方交付税として、
森林面積や林業従事者数に応じた需要額に従って税を分配し、税収の格差と需要の格差を是正すべきだったのではないでしょうか。
仮に新税を創設せざるを得なかったとしても、分配比率に人口割を3割も入れるべきではありませんでした。
この決定的な森林環境税の欠陥を看過したまま、中央集権的な発想で、東京都に区市町村の税の使い途までコントロールさせ、
表面的・部分的な解決を図ろうとすることには賛同できません。
なお、意見書案で要望している、東京都による林業従事者の育成は重要であり、また、譲与税の活用に関する担当窓口の設置については
特に反対するものではないことを付け加えておきます。
以上、議員提出議案 第30-2号 森林環境税の活用に関する意見書に対する反対討論とします。
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©copyright 2014- 辻よし子と歩む会, くさしぎ・草の根市議と市政を考える会